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新・農業経営者ルポ

ブランド産地の可能性を探る即行動の農村経営者


 例えば、サントリーのトリスをベースに三ヶ日みかんジュースとソーダ水で割ったハイボールを開発。昨年5月にはJAみっかびでサントリーとの共同記者会見を行い、取扱店舗拡大を発表した。このニュースはテレビ、新聞、グルメブロガーに取り上げられた。

「サントリーとの強力なメディア戦略により、資金を使わずにマスコミ露出が増え、メディアの連鎖で大きな宣伝効果となりました」
 ほかにも、ミカンの皮を使い切ってウサギやウマなどの動物を主人公のむきお君が剥きあげていく児童書が口コミでヒットしていることを知るとミカン消費の新しい切り口に利用可能と考え、即座に小学館に協業を申し入れている。小学館主催のワークショップに協賛したり、JAでも作者を招いたワークショップを開催。管内の小中学校にミカンと剥き方レシピ、道具を配布して特別授業を行うなど地域を巻き込んだ活動に発展している。

 新たなビジネスモデルとして狙っているのが、(株)キャトルセゾンが推進している「オフィスみかん」の取り組みだ。これは会社のオフィスでミカンを食べるシチュエーションを創り上げることである。

 都心の事務所などでは小腹が減ったサラリーマンやOL向けに業者がお菓子を置いて行き、食べた分だけ集金するビジネスが伸びている。そのお菓子をヘルシーな「みかん」に代えさせようというものだ。

 「自分たちの商品、サービスをできるだけ多くの人に、できるだけ頻繁に、できるだけ高価格で利用してもらえるよう、いろいろな切り口でひたすら考え、実行しています。何でもありだから本当に面白い」

 価値観や企業文化・風土が異なる異業種との出会いがイノベーションを生む。JAみっかびは日本一工業が盛んな静岡県と愛知県の中間に位置する。三ヶ日、ミカン、農業といった枠組みに捉われずに地の利を生かせば、未来の市場や新商品・サービスの開発の可能性も一層拡がるに違いない。(本文中敬称略)

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