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編集長インタビュー

ビジョンを明確に持ち、世界中で種を蒔きつづける

今年で創業95周年を迎える埼玉県のトキタ種苗株式会社は、現社長・時田巌氏の父の代から、国際化の時代の到来を予見して積極的に海外への事業展開を推進してきた。中国を皮切りにインド、イタリア、米国に現地法人を開設し、野菜、花卉等の品種開発とその販売、および輸出入などを手がけ、いまやヨーロッパ、オセアニア、アジア、中近東、南アフリカをも戦略のターゲットとしている。同族会社というメリットを生かし「人が考えつかないこと」をすみやかに行動に移していく、そのアクティブな姿勢が種苗業界や日本の農業界に新風を吹き込んでいる。(まとめ/田中真知)

種は国際社会で渡り合うためのビジネスツール

――トキタ種苗が、2008年にベルリンで開かれた青果の国際見本市「フルーツ・ロジスティカ」に出品した「トマトベリー」は、アジア圏で初めて3位に入るという快挙を達成されていますね。出展のきっかけは何だったのですか。

時田 イスラエル人の友だちが教えてくれたんです。たまたまヨーロッパ出張の帰りに3時間だけ時間があったので寄ってみました。そのときは種苗会社が展示会をするというのがぴんとこなかった。種を展示してどうするんだろうと思っていました(笑)。ところが行ってみたら海外のいろんなメーカーが自社で開発した種なしの小玉スイカや糖度の高いトマトなどをこぞって出展している。来場者も世界中から来ていて、展示もプレゼンもかっこいい。ほんの1時間半くらいしかいられませんでしたが、ショックでした。そこで、なにをどうすればいいかわからないままに来年の申込用紙をもらって、その場で申し込んだんです。

――それは何年頃ですか?

時田 2006年です。翌年小さいブースで出品したらけっこう好評でした。そのとき展示会には賞もあると聞いて、08年に応募しました。それがトマトベリーという、見た目がイチゴのようなハート型のトマトです。これが60近い応募の中で3位を受賞しました。まわりは狂喜していました。私は「なんだ3位か」とちょっとがっかりしたのですが、あとになって、これは日本の農業が世界で認められたという意味で価値あることだったと感じました。
 実は今年も挑戦したんです。緑色なのに食べると甘い「サングリーン」というトマトです。残念ながら受賞は逃したんですが、革新的な10品目にノミネートされました。今年は自分たちの他にも日本からの出展者もちらほらいましたね。来場者は5万人以上で、国籍は139カ国だったそうです。それだけの人が注目している展示会ですから、当然ビジネスにもつながっていきます。


――そういう現実があるのに、日本の農業界から海外へ進出しよう、世界一を目指そうという声はまだほとんど聞かれません。でも、トキタ種苗では社長の父君にあたる会長の時田勉氏の時代から積極的に海外に目を向けていましたね。現在、海外の拠点はどこにあるのですか。

時田 中国とインド、イタリア、そして昨年12月に米国にも販売拠点を置きました。最初は中国で、うちの父が中国地元政府の研究所と合併会社を設立して今年で23年目です。設立後数年で黒字になり以来トキタグループ会社の中では最も優秀な成績で貢献しています。

――種苗という観点から長年中国を見てきて、どのような変化を感じますか?

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