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特集

チャレンジ!コメ輸出 探そうあなたのお客さんは世界中にいる【前編】

58.09kg。この数字は、この1年間における日本人のコメの消費量である。(期間は2011年4月~2012年3月。米穀機構「米の消費動向調査」より抽出)あらためていうまでもないが、日本は少子高齢化を迎え、日本人そのものの胃袋は収縮し始めている。一方で、経済成長著しいアジアでは、食文化の変化で日本がこれまで歩んできたように、コメの消費量は減ってはいるものの、依然として日本産米の人気は根強くある。“sushi”に端を発した欧米での和食ブームもまだまだ衰えを知らない。このような中で、あなたのコメを日本人だけに売るのは、ビジネスチャンスを逃しているといえるだろう。たしかに、コメの生産コストや経営規模、相手国の関税、円高、そして放射性物質の問題など、そう簡単に輸出できるものではないかもしれない。しかし、その困難を超えていこうという意志を持つことが、新たな経営の可能性を開くのではないのか。今号では、叶芳和氏にはコメ輸出が日本経済にもたらす意味について、藤野信之氏には農協を中心に行なわれているコメ輸出の現実について論じていただいた。また、コメ輸出の簡単なフローチャートも掲載する。海外に顧客を持つことは決して夢物語ではない。あなたにもできるコメ輸出の可能性をぜひ感じてもらいたい。

 58.09kg。この数字は、この1年間における日本人のコメの消費量である。(期間は2011年4月~2012年3月。米穀機構「米の消費動向調査」より抽出)あらためていうまでもないが、日本は少子高齢化を迎え、日本人そのものの胃袋は収縮し始めている。

 一方で、経済成長著しいアジアでは、食文化の変化で日本がこれまで歩んできたように、コメの消費量は減ってはいるものの、依然として日本産米の人気は根強くある。“sushi”に端を発した欧米での和食ブームもまだまだ衰えを知らない。

 このような中で、あなたのコメを日本人だけに売るのは、ビジネスチャンスを逃しているといえるだろう。たしかに、コメの生産コストや経営規模、相手国の関税、円高、そして放射性物質の問題など、そう簡単に輸出できるものではないかもしれない。しかし、その困難を超えていこうという意志を持つことが、新たな経営の可能性を開くのではないのか。

 今号では、叶芳和氏にはコメ輸出が日本経済にもたらす意味について、藤野信之氏には農協を中心に行なわれているコメ輸出の現実について論じていただいた。また、コメ輸出の簡単なフローチャートも掲載する。

 海外に顧客を持つことは決して夢物語ではない。あなたにもできるコメ輸出の可能性をぜひ感じてもらいたい。


将来展望 “コメは例外措置”となる可能性が高いTPP交渉 コメを輸出産業化し、農業改革を目指せ(叶 芳和)

4月末の訪米時、民主党内の対立に火に油を注ぎかねないとして、オバマ大統領との会談において野田佳彦首相はTPPへの参加を表明できなかった。関税が原則ゼロとされるこの経済協定は今なお着々と交渉が進んでいるが、叶芳和氏は大国間の利害が対立するため、コメは例外措置になる可能性が高いと指摘。その上でコメを海外に輸出する準備を進めるべきだと述べる(本稿はWebサイト『みんなの株式』2012年4月16日掲載コラムを加筆したものである)。

 TPP(環太平洋パートナーシップ)のルール作りで、日本のコメは関税撤廃の例外扱いとなる可能性が出てきた。カーク米通商代表部代表など米国要人が相次いでその旨発言し始めた。日本国内では「TPPを梃子に農業改革を」という議論が多くあったが、これは画餅に帰した。

 日本の農業・農村の未来を切り開くための農業改革は、農業の“輸出産業化”に求めるべきだ。日本はアジアの食糧基地になれる。アジア諸国の経済発展に伴い、その可能性は大きくなった。保護主義の思考からの脱却が必要だ。


【TPP事前協議にみる米国の対日方針】

 米国要人の相次ぐ発言で、日本のコメは関税撤廃の例外扱いになる可能性が明らかになった。オバマ米大統領通商政策・交渉諮問委員会のフレッド・バーグステン氏(国際経済研究所所長)はインタビューに答え、「日本のコメは関税撤廃の例外品目になると思う。米国はコメに対しては特別な対応が必要だと認識している」と発言した(朝日新聞4月12日付朝刊)。

 カーク米通商代表部(USTR)代表は玄葉外相との日米閣僚級会談(4月10日)で、関税撤廃は「交渉の過程のなかで決められる」と発言した。これまでの「全ての品目をテーブルに乗せる」という米国側の言い方から変化しており、日本側は例外扱いを認める可能性を示唆した発言と受け止めている。日本政府の関係者は「関税撤廃に例外がある」ことを閣僚級で確認できたとみている(4月12日付日本経済新聞ほか)。

 TPP交渉を巡り、日米の事前協議が本格化している中での米側要人の相次ぐ発言である。米政府の方針と考えていいだろう。「例外なき自由化」というTPP交渉の原則を曲げてまで、「コメ例外措置」発言が出てきた背景は何か。

 米国では今秋11月の大統領選に向けての動きが本格化している。共和党はロムニー候補に一本化されてきた(第2位のサントラム元上院議員、4月10日に撤退表明)。共和党の候補者一本化で、オバマ大統領にとっても強敵になってきた。4年前とは打って変わり、いまオバマ旋風はない。失業率の高さがオバマ氏の弱点といわれる。世論調査では、経済運営の手腕はロムニー氏が上だと見られている。

 オバマ大統領にとって再選への道は、雇用創出が最大の課題だ。2年前の一般教書演説で、オバマ大統領は「輸出倍増計画」を打ち出し、米国内の雇用創出のため、アジア地域への輸出増加をめざす方針を明らかにした。その一環がTPPへの参加であった。

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