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【土門「辛」聞】
ヨーロッパ、食を巡る旅で出会ったEU認証のオーガニック食品「有機インスタント味噌汁」に思うこと
- 土門剛
- 第93回 2012年05月18日
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連休を利用してヨーロッパに旅行してきた。ポルトガルのポルトを振り出しに、スペイン西北部のガリシア州ヴィーゴ、同北東部のバスク州ビルバオ、フランスのリヨンやボーヌなど地方都市、ドイツのバイエルン地方を12日間で駆け足のように巡ってきた。食をめぐる旅の趣だった。
お洒落なフランスのミニ・スーパー
フランスではオーガニック市場について見聞きすることができた。フランスは、カルフール(世界各地にスーパーマーケットチェーンを展開する、売上世界2位の企業)だけと思っていたが、カジノというスーパーマーケットのチェーンがあることを初めて知った。ただし首都のあるパリにはあまりみかけない。リヨンやボーヌの街にはたくさんあった。
郊外型の店舗もあれば、町の中心に立地するミニ店舗もある。リヨンやボーヌで見たのは、後者だ。写真1はリヨン市内のプチ・カジノ。日本のコンビニを思わせるような立地と店舗設計だが、コンビニのようにATMや、チケット販売などの機能はない。生鮮品や食品を中心にした化粧品など日用品だけの品揃えだ。日本の首都圏でたとえれば、こだわり食材や輸入食材の品揃えが比較的多い成城石井のような趣きがある。
ディスプレイ(陳列)がフランスらしくとてもおしゃれ。階段状に陳列して最上段に値札や原産地表示などのプレートがあり、立体的な印象で目立つ。店舗面積の割に店員が少ないなという印象を受けた。チケット販売などの機能がない分、その人数でもやっていけるみたいだ。
日本と違うのは、缶詰や瓶詰め食品のレパートリーの広さだ。写真2は、野菜の調理缶詰だ。これに混じって「BIO」と銘打った食品の品揃えが充実していた(写真3)。オーガニック・ファンの多いフランスらしい。なぜか野菜や果樹にはオーガニックはなかった。
肝心のお値段だが、48頁写真4の下段右のレタスをごらん頂きたい。1玉89セントの値札が付いていた。邦貨にして90円ちょっとだ。東京のスーパーより2割近く安い印象だ。上段左の白いサラダ玉葱はキロ当たり3ユーロ99セント。邦貨にして450円ほどか。これは逆にフランスの方が2割か3割は高い。
果物の値段の安さには驚きだった。写真5のブドウは、南アフリカ産のマスカット系品種。素人眼で見ても粒揃いがよくない。これでキロ当たり450円程度。国産ブドウとは品質面で違うので、価格比較は難しいが、3割ぐらい安いだろうか。
フランス人は果物が大好きだ。国連食糧農業機関(FAO)の統計では、1人1日当たりの果物消費量は、フランスは日本の倍も消費している。それでもヨーロッパの中では標準だ。ダントツに多いのが、財政破綻したギリシャだ。日本の3倍も食べている。次いでオーストリア、イタリア、オランダ、イギリスと続く。人気があるのはリンゴ。電車に乗っていてもカバンやザックからリンゴを取り出してかぶりついている。ただ日本のように糖度たっぷりというものではない。写真6は、リヨン市内の違うミニ・スーパー店舗の店頭風景だ。十数種類のリンゴが並んでいる。フランス人が、いかにリンゴ好きか、この写真で分かってもらえよう。
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土門剛 ドモンタケシ
1947年大阪市生まれ。早稲田大学大学院法学研究科中退。農業や農協問題について規制緩和と国際化の視点からの論文を多数執筆している。主な著書に、『農協が倒産する日』(東洋経済新報社)、『農協大破産』(東洋経済新報社)、『よい農協―“自由化後”に生き残る戦略』(日本経済新聞社)、『コメと農協―「農業ビッグバン」が始まった』(日本経済新聞社)、『コメ開放決断の日―徹底検証 食管・農協・新政策』(日本経済新聞社)、『穀物メジャー』(共著/家の光協会)、『東京をどうする、日本をどうする』(通産省八幡和男氏と共著/講談社)、『新食糧法で日本のお米はこう変わる』(東洋経済新報社)などがある。大阪府米穀小売商業組合、「明日の米穀店を考える研究会」各委員を歴任。会員制のFAX情報誌も発行している。
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