ナビゲーションを飛ばす



記事閲覧

  • このエントリーをはてなブックマークに追加はてな
  • mixiチェック

今年の市場相場を読む

外食動向と業務用特化の野菜 サラダナ、パセリ、アーリレット、ワサビ



パセリ “食べない野菜”は半分にリストラ。本来的利用で風味・香りづけ食材に

【概況】

東京市場のパセリは、バブル期に年間2500t以上あった入荷数量が今では1000tを割り込む激減ぶりで、単価も総じて高くなっている。昨年も前半は減少基調が続き、単価高が目立ったが、後半は入荷減ながらも単価は安くなった。年間を通じて春から夏場に入荷が増え、特に夏の後半に高くなる。近年の傾向ではかつてシェアが7割近かった千葉が5割強になっている反面、全国32県から入荷実績がある。

【背景】

サラダナ以上に“食べない野菜”であるパセリは、メニュー単価の見直しで真っ先に“リストラ”の憂き目に合う。そうした需要動向に敏感な近郷産地・千葉が需要減以上に数量を減らしているのは組織的な対応というより生産者個人の判断だろう。減ったとはいえ需要は底堅く、市場業者は一定量を調達する必要があるため、ワンポイントのものを含めて出荷県数が異常に多くなっている。夏後半に単価が上がるのは棚持ちの良い長野産のせいだ。

【今後の対応】

同様に“飾り物”といっても和風のツマ野菜は和食の伝統を背景に存在理由はある。しかし“洋風ツマ野菜”のように使われているパセリに関してはそもそもヨーロッパに同様の利用方法は見当たらない。刻んで料理の風味や香りづけをするパセリ本来の利用法を普及させるしかパセリの捲土重来はないだろう。そのためには品種転換などを図ってイタリアンパセリと同じハーブの世界の仲間入りを志向するしかない。パセリの正念場である。

アーリレット 代替需要を引き受けてひとり成長。紫と白のコントラストを生かした活用を

【概況】

東京市場のアーリレットの入荷数量は、平成10年代に年間1600t程度だったものが2008年に2400tと増えた。やや鈍化したとはいえ、昨年も2100t前後である。年間を通じて安定しているが、ハイシーズンは初夏から夏にかけてのいわゆるサラダシーズン。産地は北海道や兵庫、長崎などでタマネギ産地の副業としての位置づけである。果肉の白と皮部分の紫の対比を生かしたサラダ類の彩りで使われる。

【背景】

アーリレットは“食べる野菜”ではあるが、食味はあまり問題にならない。しかし、外食需要が変容するなかにあって伸びている理由は何か。いちばん大きな要因は、同じ用途の野菜であるトレビスや紫キャベツからの代替品としての需要拡大である。特殊な輸入品で単価も高いトレビスや供給が不安定で棚もちも悪い紫キャベツに替わって伸びているのだ。昨年のように震災が外食動向に影響した年でも販売は堅調だった。

関連記事

powered by weblio