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今年の市場相場を読む

冬~春野菜 糸ミツバ/ナノハナ/シシトウ/オオバ

50年代から始まった、青果物の商品差別化戦略のなかで、脚光を浴びたのが「ツマ物」類であったが、その中での栄枯盛衰が現在でははっきりしてきた。特徴のある野菜、ある意味ではクセのある野菜の伸びがいい。まだ数量も少なく、地味な品目に見えるが、まだまだ成長の余地がありそうだ。生産者の作付けの参考に、市場の入荷や相場の推移から分析する「市場相場を読む」をお届けする。生産、出荷、販売のための参考になれば幸いである。なお、入荷量、単価は東京市場のものを利用しているが、数量はこれを10倍するとおよその全国卸売量となる。
糸ミツバ 特殊な品目から一般 商品への脱皮は夏場



【概況】

 糸ミツバの入荷は、正月需要の対応した12月の入荷が多く、1月には激減する。しかし5月をピークに増加傾向をたどり、夏場は落ち込むが、秋からは増加傾向にもどる、というパターンのもの。ただし一番多い月と少ない月の差が25%程度のもので、基本的に年間を通じて、業務用需要が根幹部分を占めている。これに対して単価面をみると、需要の多い12月には数量も多く単価も高いが。1月以降は数量減でも単価は安く、春の入荷ピークには単価も最低、以降、夏場に向かい数量減に応じて単価は上がる。平成6年の特徴は、7~9月の夏場にかけて、過去5年間の平均を下回るような入荷減となり、とくに8~9月に暴騰したことである。あとの月は軒並み平均を上回る入荷であったこともひとつの特徴といえる。


【背景】

 糸ミツバは、ごく限定された需要者や需要期の品目であるとの認識が一般的だったが、このところの成長は著しい。平成6年と平成2年を比べると、数量で23%伸びたのにもかかわらず、単価は7%程度しか下かつていない。しかも毎年確実に入荷が増えているのだ。これは、特殊なツマ物といった品目のパターンではない。はっきり。一般需要がついてきている動きである。主産地の千葉県は年間通して、常に50%のシェアを維持しているが、同県から水耕栽培のミツバがコンスタントに入荷している。まだ、市場やスーパー店頭などでの試食宣伝にも熱心で、一般需要を喚起してきた結果である。しかも、その一般需要が周年にわたつて存在していることが、昨年の夏場、入荷減にともなう暴騰商状によって証明された。


【今年の対応】

 かつて「クセのない野菜ブーム」によって伸びてきたダイコン(青首)や小ネギ。これに代わって伸びを見せているのが、いわゆるクセのある野菜類である。その中でもこのミツバのクセは、日本人に許容範囲のものであり、地方においての野セリ、水セリなどが季節野菜として親しまれていることとも符合する。地方レベルでいえば、季節野菜として地場の需要の開拓の余地もあるし、施設、あるいは水耕では夏場の需要への対応にまだ期待が持てる。拠点市場では、少しでも不足すると暴騰するミツバだが、地場の地道な開発も。

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