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なのはな 千葉産の独壇場に各地からの個性的な商品が供給充実
【概況】
ごぞんじ、春を告げる季節野菜としては、“全国区”になっている野菜であり、3月がピーク。みごとに5月以降夏過ぎまで入荷はほとんどない。が、秋から出始め、もはや12月にはかなりの量が入荷する。産地としては、12月からピークまでは干葉産が続いて東北物で終了。秋からは福岡産が出回る。中部の主産地・三重も東京市場では目立たないが、夏場などにも出せる力を持っている。
従来は、単価的にみても年間を通じてキロ700~800円前後のもので。他のツマ的野菜よりは入荷の増減が価格に響かないという特殊な品目だったが、昨年からかなり様相が変わった。3月を目指したピークさらに大きくなり、価格を下げた。実はこの基調は今年もさらに顕著になっており春野菜としての地位がさらに向上中。
【背景】
なのはなは、先のミツバ同様に、過去5年間で入荷数量は26%増えたにもかかわらず、価格は4%程度しか下かつていない成長品目である。ただし、これまで夏場を中心に“端境期”であったところに出荷が増えたという「周年化」傾向による増加ではないところに特徴がある。3、4月という時期を狙った増加であり、「季節豊釆」としての地位確立を目指したもの。商品的にも、千葉産のような裸の束包装ではなく、切りそろえられてフィルムパックされたものが増えている。三重産が先行して、福岡が拡大している「おいしい菜」など、同様のものが、東北からも出荷。
【今年の対応】
周年化ではなく、季節野菜として伸びているこの「なのはな」に、これからの野莱商品化のひとつの方向性を見ることができる。つまり、全国展開の野菜作りから、地場生産・地場流通への視点の移動ということであり、また、「旬」の商品化ということである。したがって、これからさらになのはなが伸びるとすると、それは出荷の長期化(促成や抑制)ではなく、出荷の旬への集中という形で数量が伸びていくものであり、中央から地方へといった普及の仕方をするだろう。現在出ているなのはなは、産地によって呼称やブランド名が違い、消費者によってはなのはなとは知らずに食べているケースもあるが、この場合は品目名や呼称の統一は行なうべきではない。産地名を強調して、愛称も個性的に。
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小林 彰一 コバヤシショウイチ
(株)農経企画情報センター
代表取締役
青果物など農産物流通専門のジャーナリスト。(株)農経企画情報センター代表取締役。「農経マーケティング・システムズ」を主宰、オピニオン情報紙『新感性』を発行。著書に、『ドキュメント青果物市場』、『日本を襲う外国青果物』、『レポート青果物の市場外流通』、『野菜のおいしさランキング』などがあるほか、生産、流通関係紙誌での執筆多数。
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