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シシトウ 業務用需要が一般消費を喚起。大型品の開発カギ
【概況】シシトウは、年間通して安定的に入荷しているように思うが、冬場と夏場では2.5倍もの格差かおり、本来は夏の品目。 12月から2月の冬場に最低で3月から増えはじめ、7月がピーク。それから冬に向けて徐々に減っていく。しかし、単価面でみると冬場に高く、夏に安い。その価格差は3倍近い。入荷に対して価格が素直に反応しているということはある意味では安定した品目だといえる。産地構成でみると、年間通して高知産がコンスタントに入荷している中、夏場を中心として千葉産が増えてピークを作っている。この2産地で9割近いシェアがあるため、かなり特殊な品目と言えるだろう。平成6年は、前年が入荷減の単価高たったことから入荷が増加し、単価を下げた。
【背景】
シシトウの市場入荷は、平成2年と6年の対比では数量はやや減程度ながら単価は13%安となっている。これだけを見ると、衰退品目のパターン。しかし、このところ丼物のファーストフードチェーンが成長しており、総需要は伸びている。高知や千葉では、業務用の契約栽培なども目立っておリ、これがひいては、一般の家庭需要につながっていくことも期待できる。東北では秋田、福島、西の産地では徳島や長崎などがこれらの主産地の間隙を縫って出荷されている。それぞれの産地は、主な出荷先が決まっており、東京市場に対しては調整の役割を持っている。潜在出荷能力はあるため、価格次第で出荷してくる。
【今年の対応】
東京市場の入荷推移だけをみると高知や干葉の独壇場であるが、需要の底上げによって、これからの地方都市の需要喚起も期待できる。これらの需要は、東京からの転送で賄うというよりは、地区や地方ブロック産地からの供給に期待したい。とくに、「旬」である6月~8月には、テンプラなどのスタミナ料理に使ってもらえるような、プロモーションなどが必要になるだろう。また、市場出荷においても業務用に対応できるような、大袋入りなどの商品アイテムも必要。もちろんこの場合は市場の仲卸業者などとの連携で、需要見込みを踏まえたアイテム作りが重要だ。さらに、一般家庭での需要喚起のために、3L以上の“ピーマン”タイプの商品作りも。
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小林 彰一 コバヤシショウイチ
(株)農経企画情報センター
代表取締役
青果物など農産物流通専門のジャーナリスト。(株)農経企画情報センター代表取締役。「農経マーケティング・システムズ」を主宰、オピニオン情報紙『新感性』を発行。著書に、『ドキュメント青果物市場』、『日本を襲う外国青果物』、『レポート青果物の市場外流通』、『野菜のおいしさランキング』などがあるほか、生産、流通関係紙誌での執筆多数。
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