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イベントレポート

徹底討論 ニッポンの農産物輸出 世界で戦える戦略を描けるか(N-1 サミット2012)


 ところで稼ぐ観点から考えると、世界一高い土地を使ってるわれわれは、世界の中で最適地を見つけていいものを安く作る発想も必要だと思います。中国なんて現在、アフリカのスーダンの土地を国家ファンドから買いまくってますから。日本はまずは世界の農地を抑え、卓越した複合技術を使って高いものは国内で安いものは海外で作る。そして食料自給率はもっとトータルに考えていくべきではないでしょうか。


高島:ありがとうございます。それではこうした成功事例を学んだうえで、われわれはどうやって輸出していけばいいか、というHOWの部分を議論させてください。みなさんに事前に「輸出する際のネックは何ですか?」と聞いたところ、圧倒的に多かった答えが「販売先を見つけるのが難しい」でした。日本の農業を海外展開していく中で、どのような課題があり、どのような方法をもって乗り越えて行けるのか。遠藤さんのご意見を聞かせてください。

農業技術を輸出する

遠藤:これはみなさんが考えている通り、「販売先なくして生産なし」なんです。人脈、資金、生産管理は後からついてくるもので、まずは販売先、マーケット、需要があるかないか、全てはそこにつきる。ここを解決してない以上、いいものを作っても売れなければ意味がないのは国内と同じ。海外や輸出だからといって特別なことはありません。
 ではどうやって開拓していくのか。これもほぼ同じです。みなさんが販売先を開拓していく際、たぶんいろいろ動かれると思うんですね。私が海外に挑戦する時も、当てがあって始めたわけではなく、やると決めたから動いたわけです。人に声をかけまくって、関係者を紹介いただいて、必要なものをひとつひとつ探していく。相手が信頼できるのかできないのか見極める方法も「この人と撃ち死にしたらしょうがない」と思える人と組むしかありません。このあたりの感覚は日本で商売するのと全く一緒です。

 一方でみなさんにお伝えしたいのは、売り先を探す時、日本の農家は予想以上に評価されていますよ、という現実です。現在、私は中国、ベトナム、マレーシア、カンボジアなどの案件を抱えていますが、なぜオファーが入るかといえば、日本人農業者に対しての評価がすでに定着しているからであって、ただそこで「やる」と手を挙げている人が少ないだけの話なんですよ。これからは、MadeinJapan、つまり農産物の輸出と、MadebyJapanese、現地生産を通じて自分達の技術を輸出する、ふたつの方向があると思います。前者はもちろんのこと、後者を待ち望んでいる市場はたくさんあるし、それに応えるだけの技術は皆さんすでにお持ちだ、ということを強く訴えておきたいと思います。

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