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イベントレポート

徹底討論 ニッポンの農産物輸出 世界で戦える戦略を描けるか(N-1 サミット2012)



高島:心強い意見、ありがとうございました。
 ここで日本農産物の輸出の成功例についていくつか説明したいと思います。ひとつは、温州ミカンです。これはもともとバンクーバーに渡った移民の方が、クリスマスに靴下にミカンを入れる習慣を広めてたらだんだん流行ってきた。そこに静岡県のJAさんが目をつけ、一緒になって展開した結果、年間で600tほど売っています。神奈川県も同じような量を出荷しているので、現在は1000t規模のマーケットまでに成長しました。

 さらに日本以外の成功事例としては、「米国ポテト協会」があります。全米のポテト生産者約4000戸がお金を出し合い、プロモーションやマーケティングなどを手がける団体です。日本を含めて全世界に11カ所の事務所があり、レストランやファーストフードなどの外食産業に売り込んで、ポテトのマーケットを広げる取り組みをしています。スタートした当初は1億ドルに満たない輸出額でしたが、今ではなんと11億ドルに達しました。

 あとCMでおなじみのゼスプリも、ニュージランドの生産者団体が出資し、生産工程から販売までのプロセスをシステム管理をしている団体です。キウイのプランニングを各国に販売した結果、10年間で販売実績を2倍に増やしています。

 日本だと生産者はどうしても地域ごとに集まりますが、海外では作物ごとのつながりを作ることで輸出を増やしていっているわけです。こうした状況を踏まえて、これから具体的にどうすればいいか、浅川さんにコメントいただきたいと思います。


浅川:米国のポテト協会は、生産者によるマーケティング団体なので、農業一般の団体じゃないんですよ。他にもイギリスのニンジン協会、オーストラリアのアップル洋なし協会など、全て品目別なんですね。一方、日本では同じ品目の産地が国内でつぶし合いの競争をしている。さきほど申し上げましたが、みなさんはエリートなのですから、不毛な戦いをすべき立場の人ではありません。「同じ品目を作っている仲間」とともに、その作物業界をどう発展させていくか考えた方がいい。TPPと一緒で、パートナーシップを結ぶのがポイントです。
 では今後、どう行動したらいいのか。米国の場合、生産者が農地1ヘクタールあたり、もしくは生産額1tあたりで団体にお金をいくら出すか決まっています。出荷量が多いほど、面積が大きいほど、業界内での影響力と責任が大きいのだから、それだけお金を収めて貢献するという考え方で、国からは資金をもらいません。というのも自分達で運命を決めたいのなら、余計な介入をのぞまないのが自由人エリートの条件です。このように日本にみなさんも目標をきめて、自らお金を出して、「こういうことをやって行こう」と自由に決めて行動していけばいいのではないでしょうか。

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