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編集長インタビュー

泣き言をやめてお客の必要探しをしよう A-1グランプリ受賞者が語る励みと希望

  • 有限会社ユニーク工業(株式会社下請けの底力グループ) 専務 羽廣保志
  • 第90回 2012年06月15日

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親族の溶接屋に持ち込まれた農家からの農機具修理の発注をヒントに、「農機具カスタマイズ計画」のアイデアをひらめいた羽廣保志氏。綿密なニーズ調査の結果をビジネスプランに落とし込み、見事、A-1グランプリ2011に輝いた。応募の背景には、同業者が海外シフトする中、地元産業が空洞化、衰退してしまう危機感があった。受賞から1年、農家をお客に新たな隙間産業の開発に奔走する同氏にその後の展開と事業モデルの現在を語ってもらった。

農家外からのA―1グランプリ受賞の意味

昆吉則(本誌編集長) 昨年のA―1グランプリは、羽廣さんが農機具のカスタマイズ計画を発表して、最高賞を獲得されました。そもそも農家ではない羽廣さんがグランプリを取ること自体が、A―1の特殊性を表していると思うんです。既存の農業コンテストのように農業関係者が農家を表彰するのではなく、評価するのは消費者、取引先、金融業界など別の業界。評価される対象は農家でなくてもいい。実際、A―1では羽廣さんのアイディアが認められたわけですが、そこに思い至ったきっかけを教えてください。

羽廣 親族が建設機械関連の溶接屋を営んでいて、農機具修理の発注がたくさん来てたんです。でもどうして農家さんが農機具メーカーではなく、僕らに頼みにくるのか不思議だったんですよ。というのも僕らが扱ってる工作用機械は、メーカーの面倒見がいい。お金はそれなりに取られるけれど、補修対応が早いし、30年前の製品でもメンテナンスしてくれるし部品もあります。それが当たり前だと思っていたら、農機具は15年ぐらい前の部品でも補修対応ができないというし、部品の値段が少しずつ上がっていって、打ち切りになった末、新品を買わなきゃいけなくなると聞いて、ずいぶん不便だなと感じていたんです。それで「これはもしかして隙間産業的に補修ができるんじゃないのかな」と。

昆 そこにビジネスアンサーを見つけたわけですね。しかも多くの農家から要望があるだろう、と感じた。

羽廣 はい。それで『農業経営者』を見かけて、何か面白い話が聞ける予感がして定例セミナーを訪ねたんです。その時、昆編集長に相談したら、「面白いからやってみろ」と応援していただいたので、このビジネスモデルが正しいのかどうか確認するため、いちかばちかでA―1に応募してみたわけです。出てみたら評価していただいて、勇気をもらえましたね。今は実際に営業をかけていて、一歩、二歩先に進めた実感があります。

昆 どのあたりに営業をかけているんですか。

羽廣 当初は農家さんに営業をかけるつもりだったんですが、いまひとつピンとこないかもしれないと思って、農機具屋さんを回ってみたんです。農家さんと密接な関係を築いてる農機具屋を見つけることができれば、心に響いて仕事になるのではないかと考えまして。ただ僕らも普段いろんなところに営業をする中で、まさか農機具屋さんに営業に行くとは思ってもみなかった(笑)。うちの会社から30km圏内に農機具屋が130軒あったので、そこをしらみつぶしに当たってみましたね。

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