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【編集長インタビュー】
泣き言をやめてお客の必要探しをしよう A-1グランプリ受賞者が語る励みと希望
- 有限会社ユニーク工業(株式会社下請けの底力グループ) 専務 羽廣保志
- 第90回 2012年06月15日
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羽廣 ありがとうございます。僕らが「こんなことができますよ」と伝えれば先方に響くし、ニーズって結構いっぱいあるものなんだと気づきましたね。同時に僕を受け入れてくれる経営者の姿勢が、淘汰されずに残る理由かもしれないとも感じました。それは農機具屋さんに限った話ではなく、僕らも見習わないといけない。
昆 それにしても羽廣さんの会社名である「下請の底力」という言葉が出てくるのは、産業構造が変わる中で自分たちで動きださなければいけない事情があったのでは、と察するのですが。
羽廣 はい。今、ほとんどの大企業が海外にシフトしていってるじゃないですか。それに従ってついていく中小企業もいっぱいいるから、国内が空洞化して産業そのものが衰退してしまう危機感が以前はすごくあったんです。でも日本の中に1億2000万人の人がいるということは、その人たちのニーズは存在するわけで、今のニーズがなくなったとしても新しいニーズをこっちが見つけられれば、技能は変わらずとも役立っていけることはある。考え方を「国内にある新しいニーズをみんなで見つけていこうじゃないか」「希望を持とうじゃないか」の方向に転換するのが理想なのではないかという気がしたんです。僕らのメインの取引先である富士重工さんが海外にシフトしていくとしても、仕事がなくなるからあきらめるのではなく、自分たちの技術を小さなニーズでいいから別のお客さんに探していくことが、新しい世の中に対して応えることだと考えるようになりました。
昆 農家の人が「作ったけど売れない。作ったけど値段が安くてしょうがない」と嘆く問題は、羽廣さんの発注先が海外に行ってしまう問題と全く同じなんですよね。でも問題というのは前向きに明るく見るとビジネスチャンスである。そう考えて動きだしたら、今まで首をかしげてうなだれてた農機具屋さんまで、「新しいお客さんに応えられる」と異業種の人たちと組んでいくことも可能になった。そのことによって今まで不便してたユーザーが食いつき、結果、コストが下がって収益が上がるようになる形が生まれれば、これは素晴らしい循環です。
仕事がなくなっても何かを探しに行けばいい
羽廣 そこの一部に何らかの形で加われているということは、自信にもなってやる気にもなって、自分を後押ししてくれますね。結構自分に近い業界の人が、「仕事がなくなっちゃった。どうしよう」と泣き言を言ってるので、泣いてても仕方がないんだよという姿勢は見せていきたいです。もし仕事がなくなって落ち込んでる人が、僕らを見て、「あ、何かを探しに行かなきゃ」と底力を発揮してくれれば、それは非常に嬉しいこと。逆に僕らも励みになりますし。
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羽廣保志 ハビロヤスシ
有限会社ユニーク工業(株式会社下請けの底力グループ)
専務
1969年、群馬県桐生市生まれ。1995年㈲ユニーク工業入社。以来、主に自動車や産業機械などの部品切削加工を中心に機械加工の道一筋に営業と現場を経験する。2008年のリーマンショックを機に、下請企業復活の手本となるべく、問題解決財の購買代理商社㈱下請の底力を仲間とともに立ち上げる。同社の事業プロジェクトのひとつ、農業の困ったを解決する「えんのうブラザーズ」のリーダーとして農機具の修理とカスタマイズを中心に活動を始める。その事業モデルを「農機具カスタマイズ計画」としてまとめ、「A-1グランプリ2011」グランプリを受賞。受賞を機に、同氏の活動は朝日新聞や日本経済新聞、NHK、テレビ東京などマスコミに取り上げられる。趣味は和太鼓と唄。
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