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【海外レポート】
Agritec2012&イスラエル農業訪問記 第2回 効率化した酪農経営を目の当たりに
- 田辺和宏
- 第2回 2012年07月13日
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最先端の酪農が見たい
私が父親と経営する田辺牧場は小さい牛を含めて70頭ほどを飼っており、日本の中でも頭数が少ない牧場である。しかし近年、同業者は規模拡大して効率化を図るようになり、このスタイルを続けるか、それとも移転して規模拡大するか、今後の方向性について考えるようになった。
参考になる経営を探す中で、気になっていたのがイスラエルである。以前、水を効率的に使い、最先端の酪農を行っている話を耳にしたことがあったからだ。しかし酪農雑誌を読んでもイスラエルの情報はほとんどない。すると本誌で、イスラエル農業視察ツアーの募集を見かけた。行けば還暦を過ぎた父親に負担がかかる心配はあったが、逆に言えば行けるのは今しかない。思いきってツアーに応募した。
ツアーは農業視察がメインのため、酪農家の参加は私一人だけである。農家の方々と一緒に、初日、2日目と農場を見て回った。イスラエルの農業で印象的だったのは、道端の植木もチューブが引いてあって、点滴かん水が非常に発達していたことだ。通訳によれば、30年前は都市にこれほどの緑はなかったらしいから、技術が進歩して普及していったのだろう。また農業とは関係ないが、イスラエルでは他のアジア人に比べると日本人がまだ珍しいようで、日本人に対してフレンドリーな印象も残った。
そして3日目にツアーは農業と酪農に分かれ、待望の牧場見学である。私には通訳とガイドがつき、他の農業ツアーに参加した外国人と一緒に回った。
トップクラスの乳量
まず最初に訪れたのは、頭数1000頭ぐらいの大規模な牧場だ。一頭あたりの乳量は、日本でトップクラスに当たるレベルである。牛の遺伝改良が進んで、栄養管理が行き届いているのだろう。牧場の形態や飼い方は、全体的に日本の大規模牧場とあまり変わらない気がした。
ここでは牛が寝るベッドに目が止まった。日本だと木のチップやおがくずを入れて水分を調整するが、イスラエルではほぼ牛糞だけでできている。それでも見た目が汚れていないのは、乾燥してるからだろうか。
本当は牧場を3カ所回る予定だったが、諸事情のため、見れたのは1箇所だけになった。それもあって、気になっていた暑さ対策などについて経営者に質問できず、農場の大きさや扇風機の数など、搾乳メーカーの社員による基本的なデータの発表で終わってしまったのは残念である。牧場で排水をリサイクルしてる噂も確かめたかったが、キブツに住む通訳が「そんなものは見たことない」と否定したので、それはあくまでも噂だったようだ。
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田辺和宏 タナベカズヒロ
1979年、埼玉県深谷市生まれ。プログラマー職を経て、25歳で実家の酪農業を継ぐことを決意。現在、就農して7年目。2011年、3軒の酪農家で協同して、ブランド牛乳「ふっかちゃん牛乳。」の販売を開始。経営概況:飼養頭数70頭、経産牛40頭。
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