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特集

今から始める漢方生産 全国に広がる契約栽培最前線


 そこで打ち出したのが、苗を生産する工程に植物工場での園芸技術を使い、その他の工程は土耕の露地栽培を採用することで、お互いの長所を組み合わせ全体のコストダウンを図る“ハイブリッド農法”である。「日本の苗生産は分業化されてきた。良い苗を作れば栽培の半分から7割は達成したことになる。また植物工場の長所は栽培期間を短縮し品質向上できることだ。植物工場で良質な苗を短期間に大量生産し、その後は栽培コストが最も低い土耕で栽培する」(末松氏)

 全体の事業スキームとしては、人工光・閉鎖型苗生産システム「苗テラス」を使って約1カ月で育苗した苗を栽培委託する。そして収穫後全量を買い戻し、販売する。将来的には優良な個体を選抜・育種し優良品種からの採種を目標とするが、薬効成分量は含量と重量のかけあわせであることからエキスでの利用であれば十分使用できると考えている。

 実証栽培は09年、埼玉県で開始。通常3年と言われる栽培期間も、1年半から2年に短縮する目処が立った。

 そして翌10年には栽培地を全国11カ所に拡大すると、各地でさまざまな結果が観察できた。

 「中国におけるカンゾウの野生地は、寒いけれど雪が積もらない地帯。しかし山形に8月に定植したところ、2mの積雪に耐えて、翌春には新芽が出てきた。22カ月が経過した最近では、その新芽から成長した草丈が60~70cmに達するなど旺盛な生育が確認されており、豪雪地帯での栽培も期待できる。また千葉県で無農薬・無肥料の栽培に挑戦したところ、ほぼ全ての株でアブラムシやハダニが発生。根も細くなり、農薬が必要なことが分かった」(末松氏)

 さらに11年には北海道から沖縄まで地域を広げ、現在、27道府県で試験栽培を展開している。愛媛県では、乾燥を好むため通常は畑で栽培するカンゾウを水田で栽培。「今のところ発育は順調。しかし栽培できてるように見えても、根が太って、収穫量が多くないといけないので、掘り出すまでは未知数」(末松氏)という。また通常は春に行う定植だが、一部地域で秋定植も始めた。天候不順によるリスク回避をしながら、年間2回の収穫で安定供給へと繋げる狙いだ。その他にも海抜の高い土地や砂地など、土質、気候の異なった地域で栽培し、傾向をつかもうとしている。

 こうした委託販売先は、三菱樹脂のプレスリリースや関連記事を見て、自ら名乗りを上げた農家や企業などが中心。半農半工を目指す会社もあれば、葉タバコの廃作問題を解決して雇用創出したいと立候補した自治体もある。

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