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特集

今から始める漢方生産 全国に広がる契約栽培最前線



カンゾウ栽培の基礎研究と実用化に向けた課題 大阪薬科大学生薬科学研究室 芝野真喜雄准教授に聞く

芝野真喜雄氏プロフィール:1991年大阪薬科大学卒業後、アサヒビール(株)入社。大阪薬科大学助手、同講師、米国ノースカロライナ大学薬学部客員准教授を経て、現職。漢方薬を未来に伝えるという目標を持ち、カンゾウの国内生産についての基礎研究を行なう。カンゾウの他、かつて栽培されていた麦門冬など、多くの生薬の国内生産に向けた活動を試みている。薬学博士。

 国内のカンゾウ栽培の目標は、中国産の野生のカンゾウと同等、もしくは高品質というレベルまで持っていくことだ。我々の研究では、国内各地の薬用植物園などにあるカンゾウの中から、優良な系統を選んでいる。現在流通しているカンゾウは中国の野生品由来で、おそらく5年以上生育していたものを収穫しているはずだが、国内栽培で5年待つのはコスト的にきびしい。よって2、3年での収穫が目標だ。

 カンゾウ栽培は、栽培期間の短縮と高収量だけを目標とする訳には行かない。薬用植物は日本薬局方(日本で使用される医薬品の品質や規格を定め、その品質を確保するための公定書)に指定された指標成分の含量値をクリアしなければ生薬(医薬品)として使用できず、カンゾウの場合は「主成分のグリチルリチン(以下・GL)という成分の含量値が2.5%以上であること」をクリアする必要がある。しかし、あまりにGL含量が高いと浮腫や血圧上昇などの副作用が現れる確率が高くなるため、GL値3~3.5%を目標にしている。

 現在、カンゾウはバブルのような状態で、「どんな植物なのかよく知らないが、カンゾウを植えたい」と考える農家さんからの問い合わせも多い。そこでそういう方には「大規模にやる前に一度育ててみてください」と共同研究というかたちで、我々が保存している系統の苗をお渡ししている。

 苗の作製については、実生苗が作りやすいという利点があるが、GL値が比較的低く、含量値にもバラつきがあるため、あまり推奨していない。また種子の確保も難しい。一方、カンゾウの横に伸びるストロンを2cmぐらいに切り作製したストロン苗は、同じ系統の苗ができる利点がある。比較的強い植物なので、栽培はそれほど難しくない。

 優良系統の選抜実験により期待できる系統がいくつか見つかっているが、まだ試験段階であり、自信を持って「これを植えてください」と渡すまでは至っていない。良い系統でも成分にバラつきが出ることもあり、栽培法なども含めて、さらなる検証が必要だ。大学としては特許などに縛られない優良系統の選抜を目指している。

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