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岡本信一の科学する農業

適正な施肥の考え方と取り組み方法

前号までに書いてきました施肥(特に窒素)量の適正化は、栽培技術の改善として最初に取り組むべき課題です。取り組みやすく大きな効果が得られます。しかし、実際には現場で指導すると最も取り組みにくく実行しにくい部分です

 多くの農業経営者が作物を肥料で育てているという勘違いをしているために、何らかの資材や施肥を増やすことは抵抗なく受け入れます。一方、施肥量を減らすことに対しては、非常に大きな抵抗があるというのがその理由でしょう。分からないではないですが、施肥の最適化という最も容易な改善に取り組まず、その他の改善を行なってもなかなか効果は現れません。そこで今回は、施肥の適正化のための基本的な考え方と取り組み方法を書いてみましょう。


追肥中心の施肥でどこまで施肥を減らせるか

 施肥には、どの時期に、どの養分を、どのくらいの量、どうやって散布するか、といったいくつもの要素があります。

 施肥を行なう時期は、大雑把に基肥、追肥の二つに分かれます。以前書いたように基肥のみで施肥を行なうというのは、作業効率化以外に栽培上のメリットはありません。特に日本のように雨が多く、肥料の流亡の多い国では、どれだけ追肥の割合を増やすのかが、施肥において最も重要なポイントになります。

 どの養分を与えるのかは、体を作る栄養成長期と実が肥大する生殖生長期では、必要とされる養分が変わります。与える施肥内容を作物の成長に合わせる必要があります。

 施肥量は、作物の成長が進んで体が大きくなるにしたがって必要な養分量が増えるので、それに合わせて行なうのが自然です。さらに、天候条件によっても必要とされる養分量は変わりますから、かなり複雑な施肥体系になります。

 ここまで説明すると多くの方は、実行不可能と思われるようですが、追肥中心の施肥体系に移行した場合には、さほど難しくありません。これまでの施肥の考え方は、最大限どこまで施肥できるかを追求していますが、本来追求すべきは、どこまで施肥量を減らせるかです。足りなければ追肥で補えますが、過剰の状態には手の打ちようがありません。最小限の施肥を行ない、足りなければ補うという施肥を考えるべきです。

 なお、今回言及しているのは、窒素、リン酸、カリの三要素ですが、特に窒素のコントロール方法について触れます。また、作柄や作物、経営的に目指す方法によって違ってきますので最も基本となる考え方を書きます。

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