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“被曝農業時代”を生きぬく

農地を未来に受け継ぐために 〜東電に勝訴するまで戦う〜



【当事者をはっきりさせる】

Q 次の戦いへの戦略は?

鈴木 東電さん次第ですね。放射能問題というのは、全て原子力事業所の責務になっていますから、私らが対策すべき問題じゃないと気持ちを整理しました。あくまでも、裁判で東電の責任を追及したい。それから、福島県は東電と安全協定を結んでいたはずだから、機会があれば県にも責任があるといいたいです。

Q コメの栽培は自由にできますか。

鈴木 私のところは基準値を越えた農家が2戸出たので、「対策をやるから作らせてください」という作付制限区域です。

Q 稲藁や籾殻、糠などから放射性セシウムが出ましたが。

鈴木 手つかずです。とりあえず置いてくれ、と言われています。

Q いずれは行政や東電が、責任をもって対処してくれないと困ります。

鈴木 そうですね。でも責任の所在といっても、法がないですから。だから私らは真っすぐ東電に向かって「あなたが加害者ですよね。私たちが、国に働きかけるのは筋違いでしょ」と言いたいです。責任の所在が分散されていて、責任逃れをしているようにしか思えないです。

Q そこは交通事故と一緒に、当事者をはっきりさせる?

鈴木 そうしないとね、頭の中がパニックになっちゃう。器用じゃないから。だから真っすぐ東電に向かっていきますよ。

【消費者も被害者】

Q 行政機関や消費者に向けて、要望はありますか。

鈴木 いや、心情的にはありますが、私はそれはやりたくないです。買わない自由もお客さんはあるわけですから。お客様は安心して食料を買えなくなった、ということに対して被害者だという感覚を持っています。何で食料に気遣わなきゃならないのか。私らも被害者ですが、一般のお客様も被害者です。福島のモノを避けなきゃならない状況に追い込んだのは誰だと。だから風評被害ではなく、被害者なのです。
 私らは「東電の罠」と呼んでいますが、生産者とお客様を対立させて、両者を封じ込める。あるいは、福島県内でも賠償金をもらっている人ともらっていない人を対立させて封じ込める。こんな構図を作り出している人がいるんじゃないかと思います。今度出てくるのは、役人と避難者の戦いですよ。避難者は被害者ですが、役人は避難者の世話をしているだけでお金をたくさんもらっていますから。そうやって問題を小さくしようとする力がはたらいているような気がします。

 地震や津波の被害はよくわかるけれど、放射能は写真には写らないので被害がどこにあるかはわかりません。他県の方に理解してもらうのは難しい。福島県は、地震も津波も放射能汚染の被害もあるからもうパニックです。だから、早いこと、事故を前提にして自賠責保険とか任意保険を作るべきです。福島の法律をつくればいいんです。

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