ナビゲーションを飛ばす



記事閲覧

  • このエントリーをはてなブックマークに追加はてな
  • mixiチェック

今年の市場相場を読む

今年の夏秋果菜類の行方 トマト、キュウリ、ナス、ピーマン



キュウリ 福島産は安定出荷で単価維持するか。期待される東北産地による協働宣伝

【概況】

東京市場の入荷は5月、春までの宮崎産と高知産の終盤が埼玉などの関東産にほぼ切り替わり、年明けからの入荷減の単価高現象は解消した。ただ、6月は入荷量で前年比7%増ながら、単価は同66%と暴落ぎみに。主産地の埼玉がややシェアを落とす一方、福島産は1割を占めて単価は他産地に比べ悪くない。数量はまだ少ないものの、秋田や岩手、山形、北海道の各産地がそれ以上の単価を出しているのが気がかりだ。

【背景】

福島産の最盛期は7、8月でシェアは4割を超える。そのため、昨年の場合でさえも単価はそれほど安くなったわけではない。まとまって安定した入荷には高単価がつく、という法則だ。特に仕入れをためらうケースもある小売用と違って、加工・業務需要には安定して入荷するものが支持される。しかし、全体的に入荷増が単価安を招いているのは、関東産や東北産が中心になり、小売向けなど需要の弾力性が低いからだろう。

【今後の対応】

今後、10月ごろをめどに関東産に戻り、さらに秋から西南暖地産が増えてくる間、東北産はどんな推移をしていくのか。福島産は単価はともかく、数量的に安定供給を続けるだろうが、他の東北産地が果たして……。だが、東北産地はここ2年ほど、夏場に協働して「キュウリビズ」を訴えて共同宣伝をしてきた。節電という世相を踏まえながら、キュウリ産地が相互扶助をしていこうとする精神は今年こそ試される。

ナス 高知産が最後まで出荷し単価落とす。心配なのは関東産地の台風被害のみ

【概況】

東京市場のナスのピークは7、8月で、関東産の露地ナスの最盛期に当たる。その前の6月は高知産の千両系ナスと長ナスが終盤で、群馬産を中心とした関東産に切り替わるのが通例だ。だが今年の場合、同月は入荷量が前年比13%増で単価は79%と弱含み。その原因は、高知産のシェアが45%と例年より5%以上高く、関東産がやや少ないことによる。単価の安い終盤の高知産が全体の足を引っ張った形だ。

【背景】

ナスの産地移動は関東が北限で東北産は入荷しない。ただ、主産地の群馬や栃木は北関東に立地しており、風評被害を受けやすい場所にある。10月以降、主産地が高知に戻るまでの間、ナスは関東産しかないため、今年の場合、入荷増は暴落に結びつく可能性がある。この夏の関東産の露地物は台風の影響を少なからず受けていることから、東北や北海道への出荷が減少傾向となれば、東京市場からの転送需要も発生し、強含みも予想される。

関連記事

powered by weblio