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【追悼】
お金の神様 邱永漢先生を悼む
- 編集部
- 2012年07月13日
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謝謝 邱永漢先生
5月17日、翌日からの中国行きの準備をしているとき、携帯がなった。着信を見ると中国からである。明日の件かと思いながら電話にでると、「邱先生が昨日急に亡くなった」という知らせの電話であった。一瞬言葉を失った。
私は現在中国安徽省でイチゴ栽培のプロジェクトに携わらせていただいています。そのご縁は邱先生からいただいたものです。
それ以前、別のご縁で、中国で合弁によるイチゴ栽培の準備を進めていましたが、東日本大震災の影響もあり、その案件はキャンセルになりました。その後どのように進むか模索していた時に、邱先生とのご縁がありました。
邱先生は“お金の神様”として有名でしたが、先生のすごさはその先見性、未来を見る力にあったと思います。ご一緒に食事をしている時「なぜ先生には未来が見えるのですか?」と尋ねたところ「僕はいつも壁の向こうがどうなっているか考えているんだよ」と壁を指しながら話してくれたことをよく憶えています。
その邱先生が人生最後の大仕事として考えられていた構想は、中国における日本品質の食品の提供。その中核として日本の農業者による中国での日本品質の農産物栽培でした。
「これからは農業だ」「日本の農業が中国で必要とされ、成功できる」「日本の農業は外へ出てくるべきだ」
とおっしゃっていました。そして、「日本人にしかできないことを中国でやるんだ」と。
邱先生のこの言葉でご一緒に進ませていただくことを決めました。
先生は生前、自分が死んだ時には、「昴」で送って欲しいと言っていたそうです。お別れの会で昴をみんなで歌いながら、先生がなぜ昴を選んだのか分かりました。
呼吸(いき)をすれば胸の中、
凩(こがらし)は哭(な)き続ける
されど我が胸は熱く、
夢を追い続けるなり
嗚呼 さんざめく
名もなき星たちよ
せめて鮮やかにその身を終われよ
我も行く 心の命ずるままに
我も行く さらば昴よ
いつも未来を見続け、常に挑戦し続けた邱先生。心の命ずるままに生き抜いたその生き方はとても魅力的でした。
その邱先生が最後に見据えていた未来。10年後、「ほら僕のいった通りだったでしょ」と先生に天国からそう笑って声を掛けていただけるよう、中国で、世界で、日本の農業者として、心の命ずるままに進んで行きたいと思います。
今、我々、日本人農業者にしかできないことがある。日本の農業者が世界でやらなければならないことがある。そう感じ、信じています。
邱先生 先生の最後の予見、実現して見せます。楽しみに天国から見守っていてください。先生と出会えたこと、中国で農業をできる機会を作ってくださったこと、心から感謝しています。
心からご冥福をお祈りします。
上海からの帰国の機上にて
万感の想いを込めて 謝謝 邱先生 再見 邱先生
(有)ストロベリーフィールズ代表 遠藤 健二
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