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住めば都、耕せば楽園

モッツアレラチーズのために、人は海を渡ってしまう

農業経営者の特権、それは美味しい食材に確実にありつけることではないか。だが、普段は案外見逃されがちなこのことに気付けば、もっと農業が楽しくなるかもしれない――。農業界きっての美食家!? 鹿嶋パラダイス・唐澤秀が語る、農業と食の可能性とは。

はじめまして。ただ美食を求める男です

 あらためまして茨城県鹿嶋市で農業しています、唐澤秀と申します。鹿嶋パラダイスという農業集団の主をしています。この世にパラダイスをつくろうと5年前に鹿嶋市に移住し、耕しています。

 僕は農家に憧れていたわけでもなく、農的な生活をしたかったわけでもなく、ただ美味しいものが食べたかった。しかもただの美味しいではなくて、官能の域まで達する程の美味しさを求めた。

 日本も世界も、ある程度は各地を歩いて、美味しいと言われるものを食べてきたけれども官能的なうまさとなるとなかなかそこまではない。

 官能的なうまさを探っていくと、結局素材に突き当たると思う。調理人の腕も大切だが詰まるところ、素材。かの有名な俳人にして食通の北大路魯山人の美味しさの9割は素材で決まるとの言葉もある。

 素材の美味しさは品種×栽培法、割合は8対2。美味しくなるDNAをもつこと、肥料はなし、もしくはほんの微量を使うのみ。これが黄金比と思っている。以前は有機肥料を使ったものが一番であったが、自然栽培に出会ってからは無肥料が一番という確信を持っている。

 在来種もいい。F1種でも美味しいのはあるけれども、在来種の方が全身の細胞遺伝子に響く感じがする。

 食べ物って美味しくなければ意味が無いように思える。化学一辺倒の今の栄養学なんて大嫌いだし、美味しくないものは、それだけで罪であり自然から頂いた食べ物に対する冒涜だと思っている。

 さて、そんな僕ですが、とりあえず今回は、欧州巡りの中で印象に残ったイタリア紀行パエストゥムについて書きたいと思う。

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