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小麦は水を入れたことによる地力培養で増収し、その後作の水稲は完璧な乾上効果によって安定的に生育し、収量・品質ともに殴るのである。
カリフォルニア州の場合、耕地面積が広いだけのことではない。こうした合理主義に徹するのである。我が国は面積が少ない上に合理化もしない、では対抗できるわけもない。面積が少ないからこそ工夫が必要なのではないだろうか。
韓国の釜山を訪れ九時のことである。水田にパイプハウスの骨組みが延々と続いていた。田植えの真っ盛りであったが、パイプハウスに野菜を作り、その後作にビニールをはずして水稲を栽培しているのだという。大型機械を導入できないので、手間はかかるが、これも典型的な田畑輪換であり、合理的である。市場に並んでいる野菜がきれいであることに驚かされたが、秘密はここにあったのである。
野菜作は病害虫の発生が多いのが通例である。このため地力培養を怠ったり、輪作体系を崩したりすると、農薬を多用しなければならない結果に陥っている。
稲作と野菜作、これは作物双方で補完し合うことであり、有意義である。野菜作の病害虫は湛水で死滅してしまうことから、次の野菜作の時に農薬を多用する必要がなくなる。水田の土壌は地力にも恵まれているので、野菜は健全な生育を示し、収量・品質に優る。作付けに手間はかかるとしても、クリーン・低コスト野菜作りが成立する。
水田の中にパイプハウスを設置することなど、日本ではあまり考えられない。勤勉な韓国民だからできることなのである。しかし、我々は改めて勤勉性について考えてみる必要があると思える。勤勉は、やはり美徳であり、手抜きから生み出されるものは何もないと言ってもいいだろう。
働けとばかり言っているのではない。目的を立て、労を厭わない精神のことを言っているのである。労働負担があまり大きいものであれば、それは工夫で補えばよいことである。当初から手間を惜しんでいては、何も形にならないのである。
世界広しといえども、てん菜(砂糖大根)を移植栽培しているのは我が国だけである。この開発経過を紹介してみよう。移植技術を発案した当初、省力化の時代に、なぜ、畑作物を園芸作物にするのかと言われたものである。
しかし、欧米並みの収量とするためには、生育期間を1ヵ月延長するより他に方法がなかった。育苗・移植に手間がかかるので、識者からは前代的と言われたものである。現在では100%近くの農家が移植栽培しているにもかかわらず、今でもその戯れ事を繰り返している。
機械開発担当者は、直播栽培の省力性に追い付け、追い越せがスローガンであった。育苗プラントを開発するとともに、高速型移植機に改良、最近では自動苗選別装置を定着させ、全自動移植機も開発している。移植栽培は生育の安定性、収量・品質はもちろんのこと、省力化においても直播栽培に浸ってしまっているのである。
さて、これからの野菜作をどうするかである。北海道にも野菜作が増加しているが、北海道では、農協などが中核になり、畑作物と輪作を組み、畑作と同じように大規模野菜作を目指している。そうしなければ、輸入野菜に対抗できるものではないことを知っているためである。
長イモ、ゴボウ、ニンジンなどは、以前から大面積栽培であったが、移植栽培のキャベツやハクサイについても同様である。この場合、必ずしもセル成型苗に執着はしない。寒冷地では、夏の日照量は日本一であっても、生育期間が短いことから大苗移植が要求される場面があること、また以前から紙筒育苗などの技術があるなどの理由による。独白の技術で臨もうとしている。
カリフォルニア州の場合、耕地面積が広いだけのことではない。こうした合理主義に徹するのである。我が国は面積が少ない上に合理化もしない、では対抗できるわけもない。面積が少ないからこそ工夫が必要なのではないだろうか。
韓国の釜山を訪れ九時のことである。水田にパイプハウスの骨組みが延々と続いていた。田植えの真っ盛りであったが、パイプハウスに野菜を作り、その後作にビニールをはずして水稲を栽培しているのだという。大型機械を導入できないので、手間はかかるが、これも典型的な田畑輪換であり、合理的である。市場に並んでいる野菜がきれいであることに驚かされたが、秘密はここにあったのである。
野菜作は病害虫の発生が多いのが通例である。このため地力培養を怠ったり、輪作体系を崩したりすると、農薬を多用しなければならない結果に陥っている。
稲作と野菜作、これは作物双方で補完し合うことであり、有意義である。野菜作の病害虫は湛水で死滅してしまうことから、次の野菜作の時に農薬を多用する必要がなくなる。水田の土壌は地力にも恵まれているので、野菜は健全な生育を示し、収量・品質に優る。作付けに手間はかかるとしても、クリーン・低コスト野菜作りが成立する。
水田の中にパイプハウスを設置することなど、日本ではあまり考えられない。勤勉な韓国民だからできることなのである。しかし、我々は改めて勤勉性について考えてみる必要があると思える。勤勉は、やはり美徳であり、手抜きから生み出されるものは何もないと言ってもいいだろう。
働けとばかり言っているのではない。目的を立て、労を厭わない精神のことを言っているのである。労働負担があまり大きいものであれば、それは工夫で補えばよいことである。当初から手間を惜しんでいては、何も形にならないのである。
移植の技術開発が発展の鍵
世界広しといえども、てん菜(砂糖大根)を移植栽培しているのは我が国だけである。この開発経過を紹介してみよう。移植技術を発案した当初、省力化の時代に、なぜ、畑作物を園芸作物にするのかと言われたものである。
しかし、欧米並みの収量とするためには、生育期間を1ヵ月延長するより他に方法がなかった。育苗・移植に手間がかかるので、識者からは前代的と言われたものである。現在では100%近くの農家が移植栽培しているにもかかわらず、今でもその戯れ事を繰り返している。
機械開発担当者は、直播栽培の省力性に追い付け、追い越せがスローガンであった。育苗プラントを開発するとともに、高速型移植機に改良、最近では自動苗選別装置を定着させ、全自動移植機も開発している。移植栽培は生育の安定性、収量・品質はもちろんのこと、省力化においても直播栽培に浸ってしまっているのである。
さて、これからの野菜作をどうするかである。北海道にも野菜作が増加しているが、北海道では、農協などが中核になり、畑作物と輪作を組み、畑作と同じように大規模野菜作を目指している。そうしなければ、輸入野菜に対抗できるものではないことを知っているためである。
長イモ、ゴボウ、ニンジンなどは、以前から大面積栽培であったが、移植栽培のキャベツやハクサイについても同様である。この場合、必ずしもセル成型苗に執着はしない。寒冷地では、夏の日照量は日本一であっても、生育期間が短いことから大苗移植が要求される場面があること、また以前から紙筒育苗などの技術があるなどの理由による。独白の技術で臨もうとしている。
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村井信仁
農学博士
1932年福島県生まれ。55年帯広畜産大学卒。山田トンボ農機(株)、北農機(株)を経て、67年道立中央農業試験場農業機械科長、71年道立十勝農業試験場農業機械科長、85年道立中央農業試験場農業機械部長。89年(社)北海道農業機械工業会専務理事、2000年退任。現在、村井農場経営。著書に『耕うん機械と土作りの科学』など。
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