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特集

今から始める大麻栽培 無毒大麻を産業に活かす


 「調べてみると、麻を白くするために硫黄で蒸す工程が麻の強度を下げていた。栽培にも工夫すべきところがあった。それまでは仲買人から先の流通や用途は全く知らなかったが、使い手が必要とする麻を作ろうと思い、小売を始めた」(大森氏)

【無毒化大麻の産業利用を】

 今では仲買人を介さず消費者に販売している大森氏の麻は、相模原市の新戸の大凧の糸、野口英世の生家の茅葺き屋根の屋根材、横綱白鳳のまわしにも使われている。しかし、大森氏は自分で最終商品まで作ったり面積を広げたりすることは考えていない。「あまり欲張ると罰があたる(笑)。それより全国で栽培ができるようになれば生産量が増えて消費現場を残すことにつながる。各地に残る加工技術の優れた点を活用したい。今後は振興会のなかで栽培や加工の技術を共有し、販売も連携していきたい」と大森氏は話す。

 現在、日本麻振興会の会員は約1500人。麻を栽培している人、麻文化に携わる人の他、麻の産業化に興味を持つ人が入会している。

 「日本麻振興会は伝統文化を後世に伝えるため生産現場をしっかり構築するという立場。マリファナも許可されるべきと考える人は会には入れない。我々は無毒化された麻の産業的な利用を目指しており、守るべきところは守ったうえで栽培に支障のある部分の変更は今後国に求めていきたい」(大森氏)

 生産、加工、消費をつなげる新たな取り組みに注目したい。

大麻を正しく知る6つの基礎知識

1.大麻とは?
 中央アジア原産とされるアサ科アサ属の一年草(学名は麻、Cannabis L)。種まきから約110日の短期間で高さ2.5mの背丈に育つ。縄文時代の貝塚から麻の縄や編物が出土しており、古くから衣、装身具、食、生活用具、漁業、狩猟、神事など日常生活の多様な用途に使用されていた。江戸時代には藍・紅花とともに「三草」と呼ばれ実生活に有用な作物として全国で栽培された。


2. 麻の種類
 麻には、大麻以外にも苧麻(カラムシ)・黄麻(ジュート)・亜麻など20種類あるが(表1)、植物学上の分類は異なる。これらの作物に麻という名前がついた理由は、麻が「長くて強い繊維」を総称しているからで、麻という漢字は屋根の下で茎をこすって繊維を取り出している様子を表している。明治以降に亜麻、黄麻、マニラ麻などの作物が日本に入ってきた際、従来からあった麻を区別するために「大麻」という名前が定着したが植物の名前ではない。

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