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土壌別経営診断うちの土ではどう作る?

開墾地でハクサイ、キャベツ、レタスを作る/小松博文さん(長野・望月)の場合

 どの部分の土が心土露出部の不良土であるかは化学分析で解明できるようなものではなく、物理性測定といっても決め手となる測定法はないと思います。つまり、そこの耕作者の日頃の観察と調査者のカンによって、「ここは改良不可能」と判断すべきものです。

 この不均一性を直しておかないと、(1)の課題である開発の進んできている野菜移植機と収穫機の導入の障害となることは明らかです。

 次に、(2)の土壌消毒なしで土壌病害を回避できるかという問題ですが、アブラナ科の野釆を連作すれば当然根コブ病他の発生が心配されます。

 長年キャベツの連作をし続けていながらも消毒なしでうまく成り立っている岸地がないわけではありません。それは、愛知県渥美半島の先端部に位置する産地で、一帯の土壌はパチンコ玉ほどの磯が大半を占める、土というよりは礫そのものの感じです。なぜそこでアブラナ科作物の何年もの連作が可能なのか、確かな理由は解明されていません。しかし、土壌がほとんど礫に近いということから、アブラナ科の分泌物とそれに生息する特定の偏った微生物が、雨水によって洗い流されてしまうためとしか考えられません。またその独特な土壌は、下層まで通気性もよいので、酸素を多く必要とするキャベツの根が高い活力を維持することができ、病害にかかりにくいのだとも考えられます。

 しかし残念ながらこれは特異な例で、ほとんどのアブラナ科作物の産地は連作障害に悩まされているのが実状です。それでもその障害の程度が軽い圃場は、必ず有機物施用が十分に行なわれているものです。このことについては、そのメカニズムをあえて詳しく説明するまでもないと思いますが、一つだけ指摘しておきたいのは、土壌微生物の中でも放線菌の繁殖が病害菌を抑制することがよくわかってきているということです。放線菌は、土壌中に良質の有個物が豊富にあることが繁殖の条件なのです。


【粗大有機物投入でまず生物性をアップ】

 さて(3)の課題は、土壌分析の活用による施肥改善ですが、まず交換性石灰の数値が野菜作を行なうには少し低すぎるということが言えます。小松さんは石灰資材として力キガラを使っているようですか、これはたいへんよい改良効果がありますし、石灰分以外の微量元素も含んでいます。

 また、交換性カリの値は適正値の約半分です。これは基肥施用時に硫酸カリ有施すか、カリ成分の高い化成肥料を使うことで解決できます。石灰とカリの施用量については、小松さん自身に計算してもらうため、ここでは省略します。

 またマグネシウムが交換性として高く出ています。適正域を20%ほどオーバーしていますが、これはあまり問題と考えなくてもよいでしょう。

 さて、この土の化学分析で最も問題となるのは、リン酸についてです。

 リン酸の判断は現状ではかなりさまざまの説かおり、誰もが迷うところだと思いますが、ずばり「有効態リン酸○○mg」を指標としてください(編集部注:前回の大石さんのケースでリン酸吸収係数を考えるような図表、会話が含まれていましたが、編集作業上のミスであり、訂正いたします)。

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