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「いくつかの職業を遍歴して、いかに農業が大切であるかを痛感した。ところが、人の命に直結する産業なのに、補助金漬けで、農家にやる気がみられない。こんな農業界をぶち破ってやろうと思い、補助金に頼らぬ農業を実践してみようと考えた」
実は、温室ハウスには、生産部門の別法人(農業法人カイセイ農研)で新潟県の補助金をもらった。でも遠山君は、これを補助金としてではなく、国から融資を受けたつもりで受け取っているそうだ。
「毎年、きちんと利益を出すように努力している。そして減価償却分以上の額を納税することによって、もらった補助金を国に返済する方針だ。09年度の補助事業だから、すでに2年間、それを実行した。今後も一生懸命に努力して残りの部分を当初方針通りに実行する計画だ。結果論だが、温室ハウスも補助金なしでやればよかったと反省している」
冒頭に述べた「6次産業化」のことを説明してみたい。カッコ付きで書いたのは、農水省が旗を振る「6次産業化」を批判的にみているからだ。これによる補助は、加工施設や直売所など自前の資金でも実現できるようなものまで対象にしている。そこには補助金に群がる脆弱な生産者の姿しか思い浮かばない。
遠山君を日本のエースと称賛したのは、補助金に頼らず、自らの創意工夫で新たな事業にチャレンジするホンモノの農業者の姿をみたからだ。
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土門剛 ドモンタケシ
1947年大阪市生まれ。早稲田大学大学院法学研究科中退。農業や農協問題について規制緩和と国際化の視点からの論文を多数執筆している。主な著書に、『農協が倒産する日』(東洋経済新報社)、『農協大破産』(東洋経済新報社)、『よい農協―“自由化後”に生き残る戦略』(日本経済新聞社)、『コメと農協―「農業ビッグバン」が始まった』(日本経済新聞社)、『コメ開放決断の日―徹底検証 食管・農協・新政策』(日本経済新聞社)、『穀物メジャー』(共著/家の光協会)、『東京をどうする、日本をどうする』(通産省八幡和男氏と共著/講談社)、『新食糧法で日本のお米はこう変わる』(東洋経済新報社)などがある。大阪府米穀小売商業組合、「明日の米穀店を考える研究会」各委員を歴任。会員制のFAX情報誌も発行している。
土門辛聞
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