記事閲覧
Btの有用性
フィリピンではナスをよく食べる。この20年間で10万tから22万tへと飛躍的に生産量は伸びているが、生産者にはかなりの負担を与えていることを消費者はどのくらい知っているのか、疑問に感じる場面に出くわすことになる。
普通の栽培だと1週間に2回、多いときには3回の殺虫剤を散布するが、Bt導入で特定の害虫をコントロールできる。結果的に30~50%程度、殺虫剤を減少することができる。
日いづる国のブランド高原野菜ではこのような農薬散布は簡単な作業工程の一つなのだろう。しかしマトモな自走式農薬専用機械など見かけず、背負い動噴で散布作業を行なうこともある比の国では、農業そのものが健康被害製造業になるのかもしれないのだから、Bt導入は農業の救世主となるだろう。
ちょっと調べてみた。
フィリピンの平均経営面積は2haで、現在の日本のそれと比較しても大差はない。フィリピンで出来るGMが、なぜこの日本で出来ないのだろうか? もしかして日本では背負い動噴なんて存在しない、だって小農も大農も豊かな農政のおかげで乗用式の散布機が当たり前だから?
多くの日本の生産者はこのBtを含むGMに肯定的な意見を持ち合わせていない。本来であれば安全・安心は国家が担保すべきことである。あれこれと考える必要がない無知で無垢な消費者が無用な混乱だけを作る発言力のみを主張するのは、正しい米国民主主義をどこかの時点で歪めさせたこの国の主犯者は誰なのか興味があるところだ。
生産者自らがこのように農薬を削減することができる農業を無視し、自分自身に金銭的、肉体的な負担をかけることを良しとする精神構造は、決して肯定させるべきではない。農業の本質である継続する産業を、次世代に間違って誘導することは明らかに禍根を残すことになることを理解しようとしない民族は、決して優秀とは程遠い単語をWHO(世界保健機関)当たりから使われることになって当然だろう。それにも増して、その姿を消費者に見せつけ、憐れみを感じさせようなどと考えるのであれば、江戸時代の“生類憐みの令”の御犬様になり、はちみつを塗って~と、もだえる変態プレー大好き野郎と同じではないか。
えっ、どこか間違っていますか?
食べなくても効果がある?
そしてフィリピンのコーンも日本とは違っていた。2003年にヨトウ虫などの特定害虫に抵抗性を示すBtコーンが栽培され、著しく害虫被害が低減したことは生産者のメリットにもなるし、日本の検査基準あたりの得意技の一つである、より見かけの良い商品を流通させることは多くの消費者の利益にもつながるのだ。
会員の方はここからログイン

宮井能雅 ミヤイヨシマサ
西南農場
代表取締役
1958年3月、北海道長沼町生まれ。現在、同地で水田110haに麦50ha、大豆60haを作付けする。大学を1カ月で中退後、農業を継ぐ。子供時代から米国の農業に憧れ、後年、オーストラリアや米国での農業体験を通して、その思いをさらに強めていく。機械施設のほとんどは、米国のジョンディア代理店から直接購入。また、遺伝子組み換え大豆の栽培を自ら明かしたことで、反対派の批判の対象になっている。年商約1億円。
北海道長沼発ヒール宮井の憎まれ口通信
ランキング
WHAT'S NEW
- 夏期休業期間のお知らせ
- (2021/08/10)
- 年末年始休業のお知らせ
- (2020/12/17)
- 夏期休業期間のお知らせ
- (2020/08/07)
- 年末年始休業のお知らせ
- (2019/12/12)
- 年末年始休業のお知らせ
- (2018/12/25)
