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特集

未来を拓く稲作のイノベーション〜播種・移植の多様な選択肢〜


 「無人ヘリと条播機は一長一短。無人ヘリは圃場を荒らさずに済むし、除草剤も肥料も一度に作業できるため時間の節約になるが、外部に費用が出ていく。今のところ条播機もしくは点播機が良さそうだと思っているが、収量を見て最終的に判断したい」と今年の取り組みを盛川氏は評価する。湛水直播はリスク分散には良いが手間がかかるため、あくまでも乾田直播の圃場が乾かない場合の回避手段と考えている。

 最近農家の高齢化などにより現役引退が増え始めており、これから徐々に経営面積は増えていく見込みだ。盛川氏は、今後増え続けるであろう面積の対応として「圃場が何に適しているかを見極めて水稲に麦や大豆を含めたなかで作目を考える。水稲作付けについては乾田直播、湛水直播、移植を出荷先や圃場ごとの特性に合わせベストな選択をしていくことになるが、当面のメインは乾田直播。条件が揃えば、最も効率が良いと思う。気まぐれな春先の天候下で播種までは圃場をうまく乾かし、入水後はきっちりと水をためられる技術の習得を急ぎたい。」と話す。 (取材・文 松田恭子)


Case2 水利条件は乾田直播に最適 技術体系の早期確立を目指す/奥山 孝明氏(岡山県岡山市)

 奥山孝明氏(株式会社夢ファーム)は今年、35.1haの水田で乾田直播によるコメ作りを行なっている。奥山氏の経営は、その他に表作に小麦、裏作に水稲(移植)を作る圃場10haを合わせると総面積は56.9ha。労働力は、父親と元研修生(今はのれん分けして経営は独立)との3人である。就農して8年目を迎える。


【乾田直播に最適な条件】

 岡山県といえば乾田直播の先進地域で、1970年代に普及し、75年のピーク時には200万haにも及んだ。一気に拡大した背景には、雑草を抑える除草剤体系が確立されたことがある。その後、春先に雨が降り続いたことや田植機の普及によって移植体系に移行し、減少の一途をたどっているが、今でも乾田直播の面積は全国第一位を誇る。

 春先に降雨が少なく、穏やかな気候が続くことが乾田直播に向くのだろう。奥山氏の播種作業は5月11日に始まり、6月8日まで約1カ月近く行なわれた。実質16日間を作業に充てたが、その間に降雨があったのは5月14~15日(4.5mm)、25日(2.5mm)、29日(4mm)6月6日(通り雨)、8日(24.5mm)と、雨量も少なめである。

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