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イベントレポート

誌上採録 GAPjapan 2012 なぜ関連業界・団体がGAP普及に力を注ぐのか?

本稿は先月号に引き続き、7月18日に開催されたGAP Japan2012の内容を誌上採録・掲載するものだが、その中でも「第2回GAP普及大賞」を受賞した3組の事例について紹介していく。単に川上の生産者だけでなく、川中の流通業者やその周辺にいる農業関連業界が、ともすれば農業経営者に迷惑・おせっかいと思われてしまう恐れもあるのにもかかわらず、熱心にGAP普及に力を注ぐ理由とはなにか。その背景と思いを講演から抜粋した。撮影・取材・文/紺野浩二

普及組織によるGAP普及事例

■ 農業改良普及センターが中心となった北海道・上川管内のGAP普及の取り組み(北海道・上川農業改良普及センターと担当普及指導員 伊與田 竜)

【GAP普及を進める理由・背景】

 講演を行なった上川農業普及センター・伊與田竜氏によれば、「上川農業普及センターの管轄地域は23市町村、耕地面積13万ヘクタール、農業生産額では1300億円」になるという。当然、この地域では、農業が主幹産業である。地域に求められる農業のあり方として、食品の安全、環境の保全、労働の安全があろうと考えてきた。同時に、農産物の信頼確保、経費削減、収量確保など、当該地域の農業経営の持続的改善につながるための手段も同時に考えていく必要があった。これらの目的を実現する手段を模索。これらの目的を実現させ、より実効性の高いものにするには、個々の農場が基準を守っているか、厳しい目で判断してもらうのが最善とし、第三者認証のGAP、その中でJGAP導入に取り組んでいくことに決めた。

 「当センターでは、GAPの普及推進の取り組みを重点課題としている」(前出・伊與田氏)だが、すんなり生産者が納得はしていない。認証に手間と金がかかること、販売単価への還元が見えないこと、民間団体の認証であるJGAPを公的機関である農業普及センターが推進していくことへの批判もあり、特に系統に出荷している生産者からの「反発を招くこともあった」(前出・伊與田氏)という。GAPに対する誤解のひとつには、制度を理解する機会と場所がないことも原因である。府県と比べて、北海道内ではJGAPについて知るチャンスは少ない。そのため、所内のGAPの普及推進体制を整えていった上で、生産者に対する啓発と農場へのJGAP導入支援、さらにはフォローアップという流れを構築することになった。普及指導員がJGAPの導入指導をするにあたっては、GAPに関する知識はもちろん必要だが、農場管理と栽培技術に関する知識が欠落していては、農場の改善は見込めない。農場がGAP導入したいという時の窓口には、作物担当の普及指導員が務めるなどの工夫をしているという。


【実際に現場では……】

 GAP普及推進の流れは、(1)啓発(2)普及推進(3)フォローアップとなる。(1)の分野では、地域で農業高校を卒業した担い手青年を中心に学ぶ機関があるが、そこでGAP導入農場の分析を行なわせるなどしている。「当初は不安だったが、大変熱心に、GAPを学んでくれている」(前出・伊與田氏)という。また、同センターは2011年11 月に「JGAP 導入の手引き」を作成し、高く評価されている。

 これまで合計15 戸のJGAP 認証農場を誕生させているが、今後はGAP導入により経営改善につながった事例を増やし、JGAP導入のメリットを知らせていくことで認証農場の戸数を増やしていきたいと考えている。

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