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【“被曝農業時代”を生きぬく】
「現状復帰には何十年かかるかわからないが、生き残っていくには品質のよい品物をつくり続けるしかない」
- 編集部
- 第14回 2012年09月14日
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昨年の原発事故後、渡辺氏はいち早く日本GAP協会の放射線検査プログラムを活用し、土壌や果実の放射能検査を実施した。県内の個人農家で初めての試みだった。検査結果は逐次、顧客に報告。個々のナシに放射能が検出されなかったことを証明するシールを張り付けて出荷するなど、徹底して品質の保証に努めている。
ギフト売上が大幅ダウン
ナシは昨年の8月下旬から12月下旬まで販売しました。放射能検査を実施し、検査結果を報告してきたおかげで、スーパーなどの量販店は例年通りの売上でした。けれども、お歳暮用のギフトの売上が7割も落ち、これは痛手でした。この分のナシは、量販店で販売できたので、売れ残ることはなかったのですが、ギフトの単価のほうが高いので、全体としての売上金額は減りました。
北海道から沖縄まで全国にいる個人のお客さんに、検査結果をつけて商品案内を送りました。東京くらいまでの東の地域のお客さんからは、そこそこ注文があったのですが、西へ行けば行くほど注文が減りました。毎年注文してくれるお客さんも「今年は休みます」って……。「本当に大丈夫なんですか」という問い合わせもずいぶんありました。それでも、お客さんにはずいぶん応援してもらい、得意客の自宅用注文は2割減になんとかとどまりました。
損害賠償請求も個人で
東電への損害賠償請求は、すべて個人でやりました。過去3年間の確定申告のデータをもとに月別の売り上げを整理して、損害額を計算し、放射能検査にかかった費用なども加えて東電に請求しました。請求は3か月ごとに行うことになっているので、去年の8月下旬から11月下旬までの分を1月に、12月から2月までの分を3月に分けて申請しました。どちらも1か月後には、保証金が出ました。
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