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今年の市場相場を読む

秋冬期の菌茸類の位置づけ エノキダケ、シメジ、マイタケ、エリンギ

秋といえば、季節的には菌茸類のシーズンである。とはいえ、今やキノコ類は年間を通じて生産、出荷されており、秋だけのキノコはマツタケくらいなものだ。地方ではまだまだ地場の天然物が秋を彩っていても消費地圏では季節感は薄れた。それに代わって小売店が秋のフェアやなべ物フェアなど季節感を演出して売りに出る。供給側も工場生産が中心のため、それに合わせて増産したり、フェア用のアイテムを作るのが現実だ。作られた旬であってもキノコ類は秋に売れることから、年間の平準的な需要作りの一方で、このシーズンを消費のピークにするよう、提案販売や売れる仕掛けを作っていくべきだろう。

エノキダケ 販売単位の大型化で革命的な伸び。なべ物特化でシーズンに大量消費を

【概況】

東京市場のエノキダケは、9月に増え始め、10月から年明けの1月まで最需要期に突入する。この間、夏場の倍近い数量が出回り、単価も倍以上となる。東京市場の入荷は2008年まで年間1万t前後を行き来していたが、翌年以降、拡大基調に転じ、04年と11年の対比では3割以上も伸びた。キノコ類のなかでも今やダントツの1位に。これは長野だけでなく、2位の新潟の著しい伸長が隠れている。

【背景】

ここ数年の異常な成長ぶりはどこからくるのか。どちらかといえば同じキノコ類でトップ争いをしていたシメジの伸びに対して、大きな遅れをとっていた感のある地味なエノキの数量が伸びているのは販売単位の大型化である。かつて100g袋入りが中心だったエノキは今や200g入りは当たり前、一株タイプのものさえある大転換だ。仕掛けは大手スーパーなどの「値段はそのまま・増量タイプ」がきっかけと思われる。

【今後の対応】

シメジに比べ煮たきするとどこに行ったかわからないほど存在感のないエノキだが、これがたっぷり使えるなら事情は異なる。なべ物でいえば春雨類の存在感に近づくのである。他のキノコの増量物や2袋入りアイテムではここまで売れない。小売業界の安売り志向から偶然生まれた販売改革であるものの、季節を意識した消費拡大の仕掛けは見事に当たった。夏の需要の掘り起こしが不調だったのとは非常に対照的だ。

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