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今年の市場相場を読む

秋冬期の菌茸類の位置づけ エノキダケ、シメジ、マイタケ、エリンギ



シメジ 28県から入荷あるほど普及。企業系、農業系がともに伸長する

【概況】

東京市場のシメジは、この10年で45%も入荷が増える成長をみせてきた。それに伴って2割強も安くなったが、エノキが増量というマジックを使って伸びたのとは対照的に、使い勝手の良さが評価され、消費提案が功を奏した結果である。企業系のホクトが中心となり、雪国まいたけも追い上げただけでなく、JA系の生産も順調に伸ばしている。東京市場には28県から入荷があるほど、生産も全国区だ。

【背景】

煮たきしてもしっかりした姿や食感のあるシメジは、なべ物の定番の座から生シイタケを引きずりおろした。東京市場の入荷量で1万tを超えてきたエノキ、シメジに対して、8000tを割り込んだシイタケの没落は痛々しい。一方、シメジはブナピーなど白茸のアイテムや、株マイタケを加えた3兄弟で売り出すホクトがPR用ビデオ装置まで設置して売場を席巻している。そのPR効果に他産地のものまで売れているのである。

【今後の対応】

販売に勢いがある分、流通もスムーズになり、品質劣化品はあまり見られなくなった。鮮度保持袋の採用なども大きい。また、株物だけでなく、整形中に出る外し品なども安いアイテムとして出回り、消費者の利便性が高くなっている。企業系に加え、全国に農業生産系のものが広がっており、地場への供給も万全だ。和系の利用にとどまらず、いため物やパスタなどへの応用範囲も広い。当分、シメジの地位は安泰だろう。

マイタケ 応用範囲が限定されて成長頭打ち。食感をアピールできる品質保持を

【概況】

東京市場のマイタケは、年間を通じて10、11月が入荷のピークである。いわゆるなべ物シーズンに合わせて出回りが増える。雪国まいたけが商品化に成功して普及し、ホクトが一株物を開発したことで全体の需要量も底上げするかという観測もあったが、東京市場の入荷レベルでは年間3000tを行き来している状態で伸び悩む。通年出荷ながら需要はなべ物に特化しがちで応用範囲も狭いのが辛い。

【背景】

天然物を珍重する地方は秋田など東北に限定され、そもそも知名度も全国区ではないマイタケの普及には時間がかかる。天然物の形状に近い、大型の菌床で生産し、スライスしたものをパック詰めして売る、雪国まいたけの販売戦略は一定の効果はあったが、ひとわたりの普及以降、伸びがみえない。単価も安くなるわけではなく、シメジの使い勝手の良さに比べると他の利用方法は普及していない。本家が伸びないから新興の株物も停滞するのだ。

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