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新・農業経営者ルポ

他産業の成長が農業経営の可能性を広げる


 すでに66ha(コメ45ha、転作20ha、桃1ha)を超えるまで規模拡大をするなかで乾燥調製や貯蔵の設備投資が悩みだった。しかし、その解決策も時代が作ってくれた。

 兼業化し、やがて離農していく農家が増える中、農協のカントリーエレベーターの稼働率は下がっていく。そんな地元農協のカントリー経営上の都合からはっぴー農産に相談がきた。一方、規模拡大を進めながらも、自前でより規模の大きな乾燥調製設備や定温貯蔵庫などを新規に建てるのははっぴー農産にとっても負担が大きい。

 「今より大型の色彩選別機や大規模な定温貯蔵庫など、自前でそろえれば数千万円はかかる設備投資をしなければならない。それが、年間300万円ほどの費用負担ではっぴー農産専用の乾燥ビンを農協が用意してくれている」

 15台ある乾燥機が設置されている同社の作業場はすでに手狭になっており、コスト面だけでなく、物理的なスペースの問題も同時に解決できたのだ。現在は、一つの乾燥ビンを占有する形で、1回1500俵のコメを農協の乾燥施設で乾燥調製していると語る三代目の貴義は、確実に黒野家の家風を引き継ぎつつ、自らの経営センスを磨き、独自の道を歩み始めている。


黒野家三代目の新たな挑戦

 当地に移住して三代目となる貴義は、地図に圃場を書き記したパネルの前で、自分が目指す農業について熱く語ってくれた。

 「私は生産者ではなく、供給者でありたい。届けるまでが仕事。そのためには、求められるもの、商品ラインナップをそろえなければならないと考えています」

 同社の栽培品目は、桃以外ではコシヒカリが中心だが、需要者の希望に合わせて様々な品種を生産している。そのために様々な栽培テストも欠かさない。国産インディカ米のサリークィーンは都内のスパイス専門商社とネット通販会社に全量を直販している。それ以外でも、腎臓病患者用の新形質米であるLGCソフトや超多収米のミツヒカリなどを試作してみた。また、玄米麺など新たな商品開発にも積極的に取り組んでいる。

 コストダウンへの工夫も進めている。今年は背負い動噴での鉄コーティングによる湛水直播で栽培し、一部、除草剤が上手く効かなかった場所もあるが、まずまずの出来だ。レーザーレベラも導入して、圃場の合筆にも取り組もうとしている。

 貴義のこれら新たな挑戦のきっかけとなったのは、ブラザー工業がCSR活動として展開している「東海若手起業家塾」への参加だった。550haの水田がある地元の猿投地区で、後継者がほぼゼロという状態の中、はっぴー農産、そして貴義の担う役割はますます大きくなっている。米作りをしているだけでは、果たすべき役割は限定され、また社員たちの収入を増やしていくためにも新しい事業を作り上げていかねばならない。

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