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【海外レポート】
農耕の源流エジプトを往く 第4回 輸出用の精米プラント
- 農業ジャーナリスト 浅川芳裕
- 第4回 2012年10月12日
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10月1日、エジプト政府によるコメ輸出禁止令が解除された。
2007年の国際的な穀物価格の高騰、それに伴う国内の食料品を巡る暴動を受け、2008年からコメの輸出禁止令が出されていた。国内在庫をダブつかせ市場価格を引き下げるのが目的だったが、筆者のエジプト訪問時、同国のコメ業界はそんな単純な情勢にはなかった。
上の写真にもあるように、インドやパキスタンからの輸入が禁輸前より急増していた。国内需要量が横ばいだったにもかかわらずだ。
なぜ国産米が足りないのか。その要因は2つある。
一つはコメ農家ならびに集荷業者が禁輸措置に反発し、在庫を積み上げたからだ。t当たり800米ドルで輸出できるコメを国内では政府に300ドルで引き渡さなければならない。500ドルも損するわけで、反発するのもうなづける。
もう一つは密輸出の急増だ。湾岸アラブ諸国をはじめ、エジプト米を求める顧客は世界中にいる。税関職員に多額の賄賂を支払ってでも稼ごうとする業者が後を絶たない。
輸出禁止は目的に反して、国内価格が上昇。在庫積み上げと密輸出で、米不足の結果を招いたのだ。
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浅川芳裕 アサカワヨシヒロ
農業ジャーナリスト
1974年山口県生まれ。1995年、エジプト・カイロ大学文学部東洋言語学科セム語専科中退。アラビア語通訳、Sony Gulf(ドバイ)、Sony Maroc(カサブランカ)勤務を経て、2000年、農業技術通信社に入社。元・SOGULマーケット専門官。元月刊『農業経営者』副編集長。現在ジャガイモ専門誌『ポテカル』編集長。2010年2月に講談社より発行された著書『日本は世界5位の農業大国-大嘘だらけの食料自給率-』がベストセラーになる。最新刊に『TPPで日本は世界1位の農業大国になる ついに始まる大躍進の時代』(KKベストセラーズ)がある。
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