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海外レポート

農耕の源流エジプトを往く 第4回 輸出用の精米プラント

輸出用精米プラントを取材した。同プラント社長は開口一番、「政府のコメ輸出禁止が続いて商売あがったりだよ」と曇った顔で語った。「糊口をしのぐために、コメの輸入・精米業に転じ、禁輸解除を待っている」という。10月に入り同氏から、輸出解禁の報が筆者にもとに届いた。なぜエジプト政府は儲かるコメ輸出を禁止してきたのか。その結果、何が起こったのか。検証する。

 10月1日、エジプト政府によるコメ輸出禁止令が解除された。

 2007年の国際的な穀物価格の高騰、それに伴う国内の食料品を巡る暴動を受け、2008年からコメの輸出禁止令が出されていた。国内在庫をダブつかせ市場価格を引き下げるのが目的だったが、筆者のエジプト訪問時、同国のコメ業界はそんな単純な情勢にはなかった。

 上の写真にもあるように、インドやパキスタンからの輸入が禁輸前より急増していた。国内需要量が横ばいだったにもかかわらずだ。

 なぜ国産米が足りないのか。その要因は2つある。

 一つはコメ農家ならびに集荷業者が禁輸措置に反発し、在庫を積み上げたからだ。t当たり800米ドルで輸出できるコメを国内では政府に300ドルで引き渡さなければならない。500ドルも損するわけで、反発するのもうなづける。

 もう一つは密輸出の急増だ。湾岸アラブ諸国をはじめ、エジプト米を求める顧客は世界中にいる。税関職員に多額の賄賂を支払ってでも稼ごうとする業者が後を絶たない。

 輸出禁止は目的に反して、国内価格が上昇。在庫積み上げと密輸出で、米不足の結果を招いたのだ。

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