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江刺の稲

「あたりまえさ」の羅針盤

  • 『農業経営者』編集長 農業技術通信社 代表取締役社長 昆吉則
  • 第14回 1995年12月01日

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 本書のあとがきで述べられる「本屋が本屋であり続けるには、お客様の多様な要望にどれだけ応えられるか、求めておられる本をいかに早く手渡せるかにかかっている。言ってしまえばただこれだけのことだが、これがなくなっては本屋の存在価値もなくなってしまう」という独白は、誰でもが「本屋」をそれぞれの商売や仕事や人生に置き換えらえる。

 どんな商売でも仕事でも、人は自分を必要としてくれる人や顧客というものを通して「社会」や「歴史」に試されているのであり、我々が顧客を試すためにいるのではない。

 でも、それは決して顧客に振り回されたりへつらうことなどではない。そして、誰も今の自分の仕事や人生を命じられたり頼まれてやっているのではなく、自らがそうありたい、好きでやってる生き方であり仕事なのだ。農家であることもまた同じではないか。でないというのなら、自らこう在りたいという人生を放棄しているだけのことだ。

 岩根さんの著書は、そんなことを気付かせる本であり、小さな事業主の奥さんたちや女性一般の感動を呼ぶばかりでなく、すべての売る人、働く人、経営する人々への応援歌になると思う。

 同時に、己れを問い続け、実践してきた者にしか語りえない、等身大の生身の人生の独白であるが故に最高のビジネス書なのである。

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