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イベントレポート

新不練栽培の提案
農事組合法人「米本」稲作機械実演会より

水田の作柄がよくないと感じたら、まず透水性が悪化していないかを疑ってみてはどうだろうか。春先、湛水前からすでに田が湿っていたり、あるいは収穫期を前に落水しても水が残るようなことはないか。
水田の作柄がよくないと感じたら、まず透水性が悪化していないかを疑ってみてはどうだろうか。春先、湛水前からすでに田が湿っていたり、あるいは収穫期を前に落水しても水が残るようなことはないか。最も収量が上がる水田は1日20~30mmの減水深をしめすものだが、自分の水田はそうなっているだろうか。そしてそうなっていない場合、「もともとそういう田んぼだから」とあきらめていないだろうか。実際には、それはその水田固有の性質ではなく、耕作者がそうさせてしまっているケースが多いのである。


 
練れば無機成分供給は停止
有害物質は蓄積される一方


 どのようにそうさせてしまったか。考えられるのは田を“練った”ことである。水を含んだ状態で土を動かすと、土壌は団粒状態が破壊され、密度が高く重い壁土のような代物に化けてしまう。そうなると水など通すはずもない“縦浸透の悪い水田”のできあがりである。

 作土が水を通さなくなるとどうなるか。水田とは、自然の水に溶け込んでいる無機成分によって圃場を肥沃たらしめる作り方である。その重要な役割を担う水が土壌に入っていかないのだから、水田は極めて痩せた状態となる。また水田を縦に通過する水には、作土中に発生する有機酸、硫化水素などの有害物質を洗い流し、偏った微生物相を是正する働きもある。それらの機能一切が期待できなくなるのだから、壁土状態の水田がいかに危険な状態にあるかがわかるだろう。

 さらに、不都合はそれだけではない。縦浸透が悪ければ、当然生育後の落水もうまくいかず、収穫期になっても田は湿ったままとなり、収穫作業の能率が落ちる。そればかりか、いつまでも乾かない田は、せっかく施したリン酸までも流亡させてしまうのだ。またそのような水田の土は、往々にして固さに欠けるトロトロな状態である。そんな泥田では作業機械の円滑な走行はままならず、また苗の植え付けが不安定になることから、深植えを余儀なくされる。これでは満足な収量は到底期待できない。 


有効な排水路を確保し レーザー均平で代かき軽減


 では、土を練るとは具体的にはどのようなことか。その筆頭は、水に浸かった土を動かすという作業を完璧にやってのける、ロータリによる撹絆耕である。また基盤作りが不完全で均平に欠ける水田では、湛水状態で無理に大量の土を移動させるような強引な代かきをせざるを得なくなる。この作業も大いに土を練る。

 そのような上を練る水田作りからは一刻も早く脱却せねばならない。次の3点の目標を押さえることが、その第一歩だ。

(1)排水の重要さを確認し、1日減水深20~30mmの水田を目指す
(2)土が乾いた状態で耕起する方法を採り、ロータリ耕への依存をやめる
(3)均平な圃場を作り、湛水後に無理な代かきをしない

 ここに提唱する「新不練栽培」は、これらを主にレーザーユ二ツト搭載の各種農機の使用で実現しようというものだ。手軽に水平を得ることができるレーザーうてトを搭載した農機を効果的に使えば、水の力を借りた強引な代かきによらなくとも、上が乾燥した状態で精密な均平をとることができる。また人間の目ではわからないはどの微妙な傾斜をつけることも簡単にできる。水の動きを自由自在に操ることができるようになるのだ。

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