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特集

レストランとコラボする 後編 取引を伸ばすための工夫と発見

レストランは、農産物の魅力を引き出してくれる農業の重要なパートナーだ。最近では、地域の食材を使うレストランも多くなっており、西洋野菜や地元の食材をレストランに販売する農家も出ている。しかし、品質、ロット、配送などの点で課題もあると聞く。同じ作り手として、農家とシェフが手を結ぶにはどうしたら良いのか? 後編では、シェフと農家に対するアンケート調査から課題を整理したうえで、その課題を解消するための取り組み例を紹介する。(取材・文/松田恭子)

イタリア料理店シェフ37人、農家27人に聞いた! アンケート調査結果にみる、直接取引の実際

【シェフのメリット】

 シェフの約6割は「珍しい種類・品種が手に入る」、「新鮮な食材が手に入る」ことを直接仕入れのメリットに挙げている(図1)。人気なのが、「伝統野菜など国内の土地独自の農産物」(62%)で、イタリアから輸入した種やイタリア品種の改良版を上回っている(図2)。

 「通常小売とは違う質の高い野菜が届くと、やはりやる気が出る」という声もあるように、直接仕入れには、既存の流通では手に入らないものを求める傾向が強いようだ。


【生産者のメリット】

―やる気アップ
・プロ同士が使うものなのでモチベーションがあがった。
・直接評価してもらえると励みになる。

―インプット
・国内ではあまり使われていない野菜の情報を得ることができた。
・新しい品種の要望を聞ける。
・自分の作った野菜の新たな食べ方がわかる。

―アウトプット
・野菜の状態を詳しく伝える機会ができる。
・料理方法、おすすめ情報などを直売所での販売に反映できる。
・飲食店ごとにピンポイントでプライベートブランドを拡大できるため安定販売が可能。

【一度に大量の野菜に苦労】

 シェフ、農家共通の悩みは、店で使いたい量と農家が供給する量が合わないことだ(図4、図5)。

 シェフは「量が多く使いこなすのに苦労する」、農家は「一時に大量に収穫できるため量がさばけない」ことを最大の課題として回答している。農産物の旬は季節感を感じさせてくれるが、出初めは量が少なく出盛りは量が多くなる。直接取引では、その不安定さが仲卸業者で緩和されず、農家とシェフが引き受けなければならない。

 もちろん、シェフも農業への理解はある。「農家さんあってのことなので、農家さんの良いペースで生産していただきたい」、「一緒に食材について考えていければと思います。農家も頑張ってくれていますので」というシェフの声も寄せられており、使いこなすのに苦労するという回答は、取引先の農家が作った農産物はできるだけ引き取ろうという意思の裏返しなのだ。

 農家側としても、専門店では一度に使う量が限られるというレストランの実情を知っておく必要がある。


【定番メニューに出来ない】

 他方で、シェフが二番目に多く挙げたのは「量が少なく定番メニューにできない」という課題だ。

 庄内地方の食材を扱っているシェフは、悩みをこう回答した。「スポット的に旬のものを使用して行政とも連携しながら地方の食材をお客様に知ってもらうような取り組みも行っている。しかしながら在来野菜の生産量が少なく流通していないものもあり、苦労している」

 シェフは、その土地、風土にあった在来の珍しい食材を求めているが、量がまとまらないこともあり、おまかせや限定で対応している(図6)。

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