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編集長インタビュー

ウルグアイで輸出米ビジネス始動 コメ作りの技術と文化を伝える



海外のコメは他の作物と競合し日本のコメはガラパゴス化した

田牧 特に土地は大きな経営資源ですね。カルフォルニアの農地を所有する農業者は、戦後の農地解放でもらった日本よりも長く3代、4代と代々土地を持ち続けているんです。
昆 なるほど! 今の日本の農家より米国の農家の方が歴史があって、先祖代々というには筋が通っていると(笑)。

田牧 要するに土地利用も含めての経営であって、米連邦政府や州政府の農業政策、水政策が自分の農場に影響してくるのか。それらを最大限に利用していかに利益を上げるかを考えるのが経営であって、「コメ作り」にこだわっているわけではないんです。水が高く売れるのであれば、水を売って、その間に田んぼを整地しておくこともあります。この辺りが日本で考えると辛いところなのですが、コメは作物の中のひとつでしかない。必ず競合作物があります。

昆 コメが負けるような競合作物があるんですよね。

田牧 そういうことです。ウルグアイでは今年大豆が高いので、コメの面積が減って大豆にシフトする。カルフォルニアもトウモロコシが高いので、コメの面積を減らして、トウモロコシを作る。あるいはコメは水を沢山使うために、その水でどの作物を作っていくかで競合するんです。

昆 この話は面白いですね。逆に瑞穂の国で天皇陛下が田植えをする、コメが神格化されたような日本では、コメという作物にこだわって、ガラパゴス的にコメ技術やコメ品質、コメ文化が作られてきたと。

田牧 ですから、品種改良から機械の開発、それらを使ってコメを作っていく栽培に関する技術、肥料・農薬まで、完璧に日本の稲品種にしか使わない特殊なものを作り上げてしまった。それぞれの農薬メーカーにしても機械メーカーにしても海外に行ったら、資本的にも、人的にも技術的にも凄いものを持った一流の会社なんですが、特化しすぎていて外に出ると見事に通用しない。世界で何億tも作っているコメのうちのせいぜい1000万t以下しか作っていないところにここまでの技術ができているという驚きがあります。

田牧 品種は確実に変わるんですよ。コシヒカリってずっと長いこと生き続けて、未だに主流になっている。でも、これは今の育種技術の中では、その性質、これだけの特徴を持ちながら、もっと作りやすくだとか、もっと沢山とれるというのは今の育種技術だと時間がかからずにできてしまう時代になりました。

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