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岡本信一の科学する農業

作物体中の硝酸態窒素を減らすために何が必要か

私のブログにたどり着いてくる方の検索ワードを調べてみると「硝酸態窒素」に関連するものが最も多い。農業者というより消費者の方が多いのではないかと推測しているのだが、消費者が過敏に反応し過ぎているのではないだろうか。

硝酸態窒素の危険性は過大に騒がれている!?

 インターネットなどでは、最近とみに硝酸態窒素の危険性を、ことさら化学肥料の使用による硝酸態窒素の危険性を煽っているものも見受けられる。特に多いのは、有機栽培など栽培過程で化学肥料を使わなければ作物体中の硝酸態窒素が少ないと謳っているものだ。しかし、化学肥料を使わなくても作物体中で硝酸態窒素は増えるし、化学肥料を使わないからといって、硝酸態窒素が低減されるわけでもない。全くの誤解である。問題は、化学肥料を使うか否かということではない。

 ウィキペディア(インターネット上にあるフリーな百科事典)でも明らかな間違いが書かれている。「硝酸態窒素」を検索すると、このように書かれている。

 「植物は硝酸態窒素のみしか、根から吸収して利用できないため、窒素固定菌がいない環境では生育できない。これを補うため、窒素肥料の中には硝酸態窒素が大量に含まれている」

 大部分の作物は、硝酸態窒素を好んで吸収するが、水稲、茶などはアンモニア態窒素を好む。また、多くの肥料は硝酸態ではなくアンモニア態や尿素などの形で窒素が含まれていて、むしろ硝酸態窒素の含まれている肥料の方が少ないくらいだ。

 ウィキペディアの間違った記述を多くの方が参考にし、間違った情報を鵜呑みにしているのではないかと思う。そこで、今回は農業者として作物体中の硝酸態窒素低減のために何が必要なのかを書いてみたい。

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