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【“被曝農業時代”を生きぬく】
国に頼らない油脂作物による除染で農業経営の再建と脱原発を目指す
- 編集部
- 第16回 2012年11月14日
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民間稲作研究所は1997年に発足し、有機稲作の研究に取り掛かった。種子の温湯消毒機や有機栽培用の床土を開発して普及するほか、中国や韓国と交流を深めるなど、国内外で有機農業の発展に貢献してきた。
原発事故が起きるまで、民間稲作研究所は麦と大豆の食料自給率を高めようと、有機栽培による稲も含めた2年3作の輪作体系を広げていました。大豆跡の水田では雑草が抑えられるほか、大豆の窒素固定細菌を活かせば省力かつ低コストで稲と麦の栽培ができること。大豆の連作障害を回避できるようになったこともあります。
それらの有機農産物の集荷と販売をしている日本の稲作を守る会では、有機米を1俵当たり2万2000円前後、有機大豆2万4000円、有機麦は1万円で引き取っており、10a当たり大豆3俵と麦7俵を生産できれば、有機米を生産するのと同程度の所得が見込めます。有機米については新規参入が増えれば供給過剰になる事態も考えられるので、麦と大豆を増やすことで調整してきました。高価な大豆選別機は共同で購入するなどして対応すれば、5haで年間480万円の所得になる。これで国の補助金に頼らなくても、有機農業で経営が十分に成り立つだけの収益が挙げられました。
今般の原発事故では皮肉なことに、食の安全と環境に最も配慮してきた有機農業は土壌汚染と風評被害で中断せざるを得なくなりました。特に麦と大豆の主産地だった福島と北関東が広範に汚染され、事態は深刻でした。
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