ナビゲーションを飛ばす



記事閲覧

  • このエントリーをはてなブックマークに追加はてな
  • mixiチェック

“被曝農業時代”を生きぬく

国に頼らない油脂作物による除染で農業経営の再建と脱原発を目指す


 国内で販売されている搾油機は、搾る前に焙煎をしないと搾油できない機械です。これでは油が酸化しやすくなるので、それをせずに生搾りできる方法を検討しました。そこで焙煎の必要ないスクリュー式の搾油機を求めたところ、日本ではなくて韓国で見つけ輸入しました。ただ、これでヒマワリを搾油すると真っ黒になり、ろ過するのに半月もかかる。圧縮式の搾油機なら最初からきれいな澄んだ油が採れるので韓国製の中古品で試す予定です。

 昨年の油脂作物の生産量は10戸で合計約5t。搾油率はヒマワリとナタネが30%なのに対し、大豆は5~10%と低い。これで1本270gの食用油にして4858本になります。今年は20戸の農家で30t生産する見込みで、ちょうど搾油機の能力に見合った生産量になりそうです。ただ、これから作付面積が増えることを見込んで福島にも搾油工房を作ることを検討しています。

 民間稲作研究所は除染をしながら有機認証にも対応できる、油脂作物の輪作体系について「栽培ごよみ」をまとめた。福島で講習会を開き、これから油脂作物を作る人に伝えていく。

 土壌汚染が1000ベクレル/kgを超える水田では、6月下旬にナタネを収穫した後、7月上旬に大豆の種をまき、11月上旬に収穫する。それから雑草を生やして機械で集め、5月にヒマワリをまく。この手順で休みなく除染をしながら食用油を作り続ける。

 一方、1000ベクレル/kg以下の水田なら有機栽培をした稲への移行係数が0.01以下だったので、稲への移行は10ベクレル以下になる可能性が高い。この場合にはナタネ―大豆―稲の2年3作。またはナタネと稲の二毛作で除染をする。田植えは6月下旬から7月上旬になるので、「コシヒカリ」や極早生の「五百川」、感光性の高い「にこまる」などを栽培する予定です。


 ここまで読まれた方は一つ疑問を持たれただろう。ヒマワリは国によって除染効果が極めて低いと断定されたからだ。しかし、民間稲作研究所の栽培試験では「むしろ最も効果が高かった」。同研究所が試している他の除染法も含め、次号で詳細を報告する。(10月22日取材・まとめ/窪田新之助)

関連記事

powered by weblio