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エクセレント農協探訪記

福井県・大野市農協

【灘と伏見の酒造会社から産地指定】

 新食糧法の期待は少々外れたが、大葦原組合長は、米乱戦時代を想定して着実に手を打ってきた。

 大野市の若者は車で50分の距離の福井市へ兼業に出かけることが可能だ。ご多聞に漏れず農業後継者不足で高齢化が進行中。大野市の農業にとっても問題は深刻になりつつある。ここでは滋賀県や新潟県などで見られるように、大規模生産者が作業受託する基盤はない。大半が1ha程度の零細規模農家であるからだ。

 そこで大葦原組合長は、数年前に一つの手を打っておいた。兼業農家の農作業を請け負う農業法人の「大野市総合農場」を設立したことだ。中核農家が一人50万円ずつ出資。現在では65haの作業を受託している。年間収入も税込みで700万円の手取りを確保できるようにした。大葦原組合長によれば、「これぐらい出さないと若者は農業に定着してくれない」と言うことだが、悩みもある。米の値段が下がり始め農場の採算をとるのが難しくなってきたことだ。その原因の一つに地代がある。10a3万5000円ということで若于局めなのだ。これを下げないと農作業の受託事業は成り立たないとい

 それはさておいて販売面で大葦原組合長のヒットがある。早くから主食用だけに目を奪われず酒米にも力を入れてきたことが、主食用米が下がり始めた最近になってようやく効果を発揮してきたのだ。作付け面積3000haのうち、1130haは酒米にあてている。当初は、酒米は主食用より割安だった酒米の生産に組合内部でも異論はあった。最近では酒米の値段は、純米酒ブームを反映して値上がり、ほぼコシヒカリ並みになった。菊正宗、月桂冠、黄桜など酒造メーカーから産地指定を受けるなど酒米生産は大野市農協の売り物の一つになってしまった。

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