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【新・農業経営者ルポ】
十勝で活躍の場を拡げるJCB乗りのイノベーター
- (有)鈴鹿プランニングサポート 取締役 (有)鈴鹿農園 代表取締役 鈴鹿誠
- 第102回 2012年12月14日
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前述のケンブリッジローラーもグリメ社のポテトハーベスターもこのJCB社のトラクターも同じ輸入代行業者から買い求めている。そして、鈴鹿が次に目をつけているのがMiedemaというメーカーのポテトプランターである。
「欲しいのは種イモの供給機構がベルトタイプの4畦。北海道で一般に普及しているようなカップタイプだと形状の異なる品種ごとにカップを換える必要があって、その調整には1時間もかかる。ベルトタイプならそうした煩わしさはない。流れとしてはホッパーからゴム製のベルトコンベア上に落ちた種イモが縁の盛り上がった中央部だけ後ろにスライドするラインに乗り、一列に並んだまま地上に落下して培土まで一気に進められるという感じかな。システム的に補助員も要らない」
ただ、これだけのスペックである。価格もそれなりにするようだ。
「業者に見積もりを出してもらったら1000万円を超えると言われてちょっと悩んでいる。でも、1日の作業能率は10haくらいで想定しているし、ゆくゆくはこの作業もコントラクターでやっていきたいと思っているのでこの冬になんとかしたい」
ちなみに、1000万円にちなんだ話をすると、鈴鹿は減価償却費がその額を超えないと不安になるという。
「反当コストにすれば大したことはないけど、大変は大変だね」
そう語る鈴鹿の会社の売上は農場部門が1億3000万円、コントラクター部門が2000万円の計1億5000万円(11年)である。
農業の革新は農業経営者が起こす
農業の革新はほかの誰でもない、農業経営者が起こす。
自らが描く未来に何が必要かを判断し、土台を固めていく。鈴鹿の場合、それが農場の規模拡大であり、コントラクターとの融合だった。必然的に耐久性が高く、高能率な農業機械が求められるなか、視線の先をヨーロッパへ向ける。規模が規模だけに悠長に待っていられない。国内に自身の要求を満たす“手段”がないとわかれば輸入代行業者に相談を持ちかけた。また、国内に正規輸入代理店が存在するものでも価格だけでなく、アフターサービスも見極めてそこから購入することをしている。ここに鈴鹿の経営観が垣間見える。
では、既存のメーカーや販売店はどう動いたのか。これは推測だが、彼らは鈴鹿と距離を置かず、むしろ近づいていったのではないか。なぜなら、時代は鈴鹿のような農業経営者を歓迎しているからである。直接的な取引というよりは将来に結びつくヒントが得たい。そんな対象として鈴鹿は見られているのではないだろうか。かくして鈴鹿の行動が呼び水になり、需要企業をも巻き込んだイノベーションに発展していく。
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鈴鹿誠 スズカマコト
(有)鈴鹿プランニングサポート 取締役
(有)鈴鹿農園 代表取締役
1964年、北海道芽室町生まれ。高校卒業後、農業に従事する傍ら、北海道拓殖短期大学に入学するも2年後に除籍。父・諭三男の下、目標を100haの経営に据え、3年ほどで40haから90haへ規模を拡大する。99年にコントラクター事業を行なう(有)鈴鹿プランニングサポートを、04年には(有)鈴鹿農園をそれぞれ立ち上げ、経営規模は150haを超えた。両社を合わせた売上は約1億5,000万円(11年)。12年6月、JAめむろの理事に就任した。
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