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特集

新政権に問う!これからの農業~経営者たちの声を聞け~

この雑誌がお手元に届く頃には衆議院選挙の結果が出ている。12月7日段階での各メディアは自民党の圧勝を予想しているが、どうなるか。本特集では新政権に対するアピールという意味を込めて、日本農業を実質的に担う現場の農業経営者たちによる座談会を核に、所得補償政策、TPP、震災復興の問題を中心に各地の読者経営者の意見をまとめてみた。

 農業に関する各党の主張は、みんなの党を除けば、基本的には共産党から自民党までバラマキである。

 自民党も、“民主党の戸別所得補償”をバラマキであると批判はしても、どこに新しい提案があるのか分らない。TPPに関しても自民、民主両党とも、党内の反対派というより農業団体を気遣い、誤った情報に支配され思考停止状態に陥っている人々におもねるばかり。安倍総裁は「例外なき関税撤廃には反対」などと意味不明な言葉を繰り返すだけ。そもそもTPPに限らずFTA・EPAも自由貿易交渉である限り関税ゼロを目指すのは当然。その上で利害を突き合わせるのが交渉ではないか。

 農政によって農業が改革できるとは思わない。農業経営者個々の事業活動こそが農業を変革させるのだ。せめて農業経営者の邪魔をしない農業政策を考えて欲しいだけだ。


本質を見誤るな、経営者のための農政を

■交付金 バラマキは強い農業を育てない

2009年の政権交代後、地域農業の担い手像は一層不鮮明になった。このことは産業としての自立を目指す農業経営者にとってみれば、とても不幸なことである。TPPだけでなく中国・韓国、EUなどとのFTA交渉を前に、強い農業を形づくらなければならないはずだ。新政権は向き合うべき農業者を明確にしなくてはならない。同じ過ちを繰り返さないため、これまでの民主党農政を振り返る。(取材・まとめ/窪田新之助)

【バラマキは「見直し」】

 バラマキ批判が強い交付金に“待った”がかかった。

 農水省が13年度予算で6901億円を概算要求した農業者戸別所得補償制度。財務相の諮問機関である財政制度等審議会の財政制度分科会は11月7日、「農業の零細構造の改善につながっていない」「大規模農家を優先にすべきだ」などとして、「見直し」という認識で一致した。

 農水省の新年度予算の概算要求額は2兆3166億円(復旧・復興対策費含まない)。このうち農業分野は1兆7920億円で、その約4割を同制度に充てる計算になる。

 コメ農政の柱である同制度を検証する前に、いま一度その内容を確認したい。

 09年の政権交代時、民主が目玉政策として掲げた戸別所得補償制度。その仕組みは、販売価格が生産費を恒常的に下回っている作物を対象に、農家にその差額を直接交付する。具体的な交付額は10aの水田で作る品目がコメなら1万5000円。麦・大豆・飼料作物なら3.5万円。飼料用米や米粉用米などに至っては8万円になる。

 加算金もある。たとえば粗飼料を生産する水田での放牧や堆肥の散布などで耕畜連携すれば、8万円に加算金1万3000円が加わって計9万3000円に及ぶ(次ページの表参照)。別の見方をすれば、10a当たりの農地の実勢価格は農業経営者に聞くと35~50万円なので、これほど配当の良い投資はないと言えるだろう。

 
【経営者の偏差値を下げる】

 同制度はあらゆる農家を対象にしているため、当初からバラマキ批判が強かった。そして今、まさに一部の農業生産現場は交付金バブルに沸いている。「交付金で1億円を手にした」「今年だけは二毛作にし、それだけで数百万円になった」といった声が漏れ聞こえてくるのだ。

 経営者にすれば、もらえるものはもらうのが当然。だが、これは長期的にみれば農業者のためになるはずはない。折しもTPPで国内農業の体質強化が叫ばれている最中である。北海道のある農業者は「何でも交付金目当てになってしまう。だから戸別所得補償制度以後、農業者の経営的な偏差値は下がった」と証言する。

 それに、これだけの規模の予算が長続きするはずもない。この点、冷静な農業者はわきまえている。「巨額の予算が投じられた後には、必ずといっていいほど税金などで取り返しがある。それが農政」(埼玉県の農業者)。

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