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シリーズ TPP特集

なるほどTPP! 交渉はどうなっているのか、外務省経済局の片上慶一局長に聞く

2013年にも正念場を迎えるとみられている環太平洋アジアパートナーシップ協定(TPP)交渉。国内でも新政権の誕生を機に、交渉参加の是非をめぐって再び大きな議論が巻き起こるのは必至だ。その前にTPPとは何か、参加交渉の現状はどうなっているのかを理解したい。外務省経済局長の片上慶一氏に聞いた。(取材・まとめ 窪田新之助)

――TPP交渉の現状と妥結の時期について教えてください。

5月に米国・ダラスでの第12回会合では、中小企業による協定利用促進に関する議論は終えたと聞いている。一方、センシティブ品目や知的財産の取り扱いに関する議論はかなり遅れているようだ。農業分野では輸出補助金や輸出税の禁止、食の安全保障などで議論がされている。最終的に何が例外扱いになるかは分からないが、従来のような関税による保護が難しくなるのは間違いない。ただ、ほとんどのチャプター(章)の詳細は参加国でない限りは分からない。

それでも交渉の年内妥結がないのは確か。9月にロシアのウラジオストクであったAPEC首脳会議で、「年内に可能な限り多くの章をまとめる決意である」という結果になったからだ。ある国では2013年中という話も出ているようだが(注1)、TPPの参加国の間で合意されたわけではない。12月にTPP協定交渉の第15回会合がニュージーランドで予定されており、ある程度の目標が設定されると思う。ただ、この会合でカナダとメキシコが正式加入するため(注2)、参加国が増えることで交渉が難航する可能性はある。


――情報収集のためにもまずはTPP交渉に参加する、折り合えなければ脱退という方法はないのですか。

もちろん論理的には、可能。反対派や慎重派には交渉に参加すれば抜けられないといった見方があるが、米国だって地球温暖化防止の京都議定書では交渉に参加して、最後に署名していない。日本も二国間のFTAで中断しているのがある。

TPPでのルールが完全にできていない時には日本も主張できるが、協定がまとまってしまえば交渉参加ではなくあくまで加入になる。それは出来上がってしまったものを受け入れるしかない。交渉に参加して日本の主張をぶつけるというのが、推進派の考え方になる。


――日本の交渉参加に向けた動きと参加国の反応は。

今年1月から2月にかけて交渉に参加する9カ国(注2)を回った。6カ国は「いつでもどうぞ」と歓迎ムード。残る3カ国のうち豪州とニュージーランドも基本的には歓迎だが、本当に高いレベルを追及できるのかと日本の本気度を問われた。米国からは3分野(注3)について日本の何らかの対応ができるのか、それができないと(日本の交渉参加の承認に向けて)米国議会は動かないといわれた。

交渉参加に向けてはこの3分野について米国との協議を終えないといけない。それが片付いた後、米国議会への報告が行われ、90日経った後、日本の参加が実現することになる。ただ、まずは日本国内での議論がまとまる必要がある。

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