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シリーズ TPP特集

なるほどTPP! 交渉はどうなっているのか、外務省経済局の片上慶一局長に聞く



――TPPが「実質的な日米FTA」であれば、米国とはTPPではなくFTA交渉に臨む方が有利な交渉ができるのではないですか。

米国はマレーシアとのFTA交渉が難航した背景があって、二国間のFTA交渉をやらないと言っている。また、国内では二国間の方が楽になると思っている人が多いが、必ずしもそうとは言いきれない。たとえば米韓FTAにしても例外品目は0.1%でコメが抜けているだけだ。その代償として知的財産とかは米国のルールに則った形になっている。

一方のTPPでは、参加国が交渉で苦労している医薬品の償還価格や知的所有権の話は、米国は高いレベルを要求しているが、ほかの国が一斉に反対している。ほかにも米国が孤立している項目は一杯ある。もちろんコメのように日本が孤立する分野もあろうが、FTA交渉ほどに追い込まれることはないと思える。


――そのコメに代表されるように、日本の農業界の反発が強いことはどうみていますか。

政府は昨年10月の「我が国の食と農林漁業の再生のための基本方針・行動計画」や新成長戦略の中で、消費者負担から国民負担へ、すなわち関税から税金による支援の拡充に移行することをうたっている。残念だと思うのは、TPPに入って関税がゼロないしは下げられたときに、国内のセンシティブな作物や限界集落に対して、安い輸入品が増えたときにどういう手当をするのかという議論が出てきていないことだ。大きくは農地を集約してもっと効率的にやろう、六次産業化で売れるようにしようという話はある。

ただ、本当に「高いレベル」の自由貿易を結ぶのであれば、たとえば沖縄のサトウキビをどう守るかなど、センシティブな作物や限界集落に対してもっと具体的な対策を示すべきだ。だから、現状では農業者が不安になるのは当たり前。今まで関税で守られて一生懸命に農業経営をしてきたのが、突然に関税がゼロになれば農業者もやり切れない。この辺りのことは政府がきちっと示す必要がある。


【編集部注】
※注1 =11月20日にあったASEAN関連首脳会議の機会に開催されたTPP参加国首脳会議で、来年中の交渉妥結を目指すとされている。

※注2 =このインタビュー後の11月18日、タイのインラック首相が同国を訪問中の米国オバマ大統領との首脳会談で、TPPへの交渉参加を正式に表明した。

※注3 =牛肉と保険、自動車の3分野。米議会調査局は日本のTPP交渉参加の可能性と影響について分析した報告書で(1)米国産牛の市場開放(2)米国製自動車の市場開放(3)保険や急送便での日本郵政の優遇――を日米間の未解決の課題としている。

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