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海外レポート

オランダ農業視察ツアー訪問記 第3回 フロリアードを機会にオランダと日本の花生産の違いを考えてみた



分業化が合理的

 オランダでは育苗だけでなく、いろいろな面で分業化されている。訪問したトマト農家では育苗とは別に、病害虫と授粉用マルハナバチは専門業者に、施肥設計や日々の栽培管理方法は栽培のコンサルタントに、そして販売は専門の販売会社に委託している。農場の経営者は日々の生産業務だけを考えていれば良いのである。もちろん、どの業者と組むのかを決めるのは経営者である。

 翻って日本では上記の多くは経営者の仕事であり、一人で何役もこなしている。ところが、病害虫など高度な専門知識が必要な際には経営者本人だけでは判断がつかず、普及所や農業試験場にお世話になることがある。ここが曲者かもしれない。普及員や研究者の力不足・努力不足との指摘は横に置かせて頂いて、システムが根本的に違うのである。オランダでは経営者が対価を払って民間のコンサルタントを雇っているのだが、日本では公的機関が面倒を見ている。このサービスは互いに無料なので(税金として間接的に支払ってはいるが)甘えの構造に陥りやすい。身銭を切っている者と、自分の給料を頂いている者との直接的な関係になっていない上に、競争原理も働かないのだから。種々のインフラが違い過ぎるという問題はあるが、オランダのように分業化を進めることが、低コスト化=生産の合理化に役に立つのだと思う。


フロリアードは宅地造成?

 今回オランダを訪ねたのはフロリアードも一つの理由であった。前評判があまり聞こえてこなかったので心配していたが、どうやら今回のオランダはあまり力を入れていなかったようだ。2004年の浜名湖花博に関わった経験からすると、12年のフロリアードを花の祭典と呼ぶには少し抵抗を覚える。修景に使われる花の絶対量、庭の見応えがなく、各国の展示もいまひとつであった。そんな中で、日本のプレゼンスは群を抜いていた。春の品種コンテストでは上位を独占する勢いであったし、花の展示も丁寧だった。更に、ZENと銘打った食糧問題の展示館では日本の農水省の主張が「日本語で」堂々と展開されており、文字通り目を瞠った。

 さて、フロリアードについて「10年おきに宅地造成したいんだよね」との悪口も聞こえてきたが、それでも花の好きな方ならそれなりに楽しかった筈。また、日本の花文化の水準が実は相当高いということが理解できたと思う。

 最後になりましたが、今回のツアーでご一緒させて頂いた皆さん、一人異質な公務員を仲間にして下さりありがとうございました。実は写真にもある修景用の花の混合種子を土産に買ったのですが植物検疫にひどく手間取ってしまい、成田空港で皆さんにお礼を言うことができませんでした。この場をお借りしてお礼申し上げます。 

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