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読み切り

農業界の高齢化、人手不足問題を考える

バブルがはじけ、いつ終わるともしれない不況の嵐が吹く日本社会。リストラ、就職難が続く産業界と対照的に、農業界ではあいかわらず高齢化と後継者不足に加え、人手不足が解消されないまま、年が改まろうとしている。
外国人労働者の雇用は可能か?

バブルがはじけ、いつ終わるともしれない不況の嵐が吹く日本社会。リストラ、就職難が続く産業界と対照的に、農業界ではあいかわらず高齢化と後継者不足に加え、人手不足が解消されないまま、年が改まろうとしている。この人手不足を乗り切るために、対処療法的とはいえ、これまで農家からは敬遠されがちだった外国人労働者雇用の道を考えることはできないだろうか。編集部では農家が外国人雇用を考える場合の問題点や、どのような態度で臨まなければならないかを探ってみた。


不況の中、増加する外国人労働者


 今日本に在留する外国人労働者は登録されているだけで約135万人(1994年現在)。そのうち永住者約63万人を除いた約72万人の大半が、豊かな国日本に「出稼ぎ」に来ている人々だ。しかもそれ以外に未登録の外国人が約20万人以上いると見積もられている。しかし、日本政府は一貫してこうした外国人の「職出稼ぎ」を阻止する姿勢を取り続け、資格がない人々が職業に就くことを禁じている。しかし現実的には「出稼ぎ」外国人労働者の波を防ぐことはできないのが現状で、バブルがはじけた不況の中でも、来日する外国人労働者は増加の割合こそ減少しているものの、毎年増え続けている。

 外国人労働者を雇用する場合、最も問題になるのはその雇用が違法なのか、合法なのかという点である。現在、日本は技能者や技術者、研修など以外では例外を除いで労働力の輸入を基本的に認めておらず、日本での就労資格を持だない外国人の就労を「不法就労」として摘発の対象にしている。90年には入管法に雇用者澄則制度を新設し、雇用者にも違法な雇用の責任を求める体制で摘発を強化している。しかし在留外国人の多くが「出稼ぎ」を目的に来日し、また国内でも3K(キツイ、キタナイ、キケン)といわれる職業の労働力不足があいかわらず深刻である背景がある以上「不法」といわれても、外国人労働者の「不法就労」はなくなることはないのである。

 これら「不法就労者」は、出身国で渡航費用を借金し、日本でもブローカーなどに紹介料を払って職を求める。だから万一摘発され強制送還された場合、雇用者も「不法就業助長罪」として3年以下の懲役か200万円以下の罰金刑に処せられる場合があり、農業界でも毎年摘発される雇用者が出ているのである。

 経営面積約100haという茨城県のある大規模近郊野菜栽培農家では、観光ビザで入国したフィリピン人男性を住み込みで雇っていたが、摘発されてしまった。その経営者は「最初、外国人を雇うのは抵抗があったが、夫婦2人ではとてもやっていけなかった。それまでは近所の主婦に頼んでいたのだが、近くにできた工場の方へいってしまったので、しかたがなく頼んだ」と嘆く。またやはりフィリピン人を「不法就労」をさせているある農家は「92年頃から急速に外国人を雇用する農家が増えた。フィリピン人はてきぱき働くので評判がいい」と語るが、やはり「摘発が心配なので目立つところで仕事をさせづらく、免許証が取れないので車の運転を任せられない」と語っている。


合法的な日系人の雇用


 一方で合法的な外国人雇用の道もある。在留資格さえあれば、あらゆる職種に就くことができる日系人である。日系人の就労は、90年の入管法改訂で、日本の外国人労働力への門戸開放の第一弾として行なわれたもので、90年には推定7万人強だった在留ほ系人が91年には約15万人、94年には20万人と急増し、同年には登録外国人のうち、韓国・朝鮮人を中心とする永住者を除いた72万人の4分の1強を占めるまでになっている。

 これら在日日系人はその8割が日系ブラジル人。日系ペルー人が1・7割と続き、在留日系人の97%を占めている。そしてその約半数が、愛知県、静岡県、神奈川県、群馬県などの自動車関係、電気製品関係の製造工場に集中し、外国人労働者の中では最もいい待遇で迎えられていたのである。

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