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日本で麻農業をはじめよう 聞いておきたい大麻草の正しい知識

大麻取締法における栽培免許とは?

大麻草に関する情報は正しく伝えられてきたのだろうか。海外では、生産基盤がととのい、衣食住からエネルギーや医療にと幅広い活用が始まっている。一方、日本では見直されることなく、現時点での栽培面積は約5haに過ぎない。大麻草を研究テーマに掲げて博士号を取得した赤星栄志氏が、科学的な視点でこの植物の正しい知識を解説し、国内での栽培、関連産業の可能性を伝える。

 大麻草(以下、麻で統一する)は、アサ科1年草の雄雌異株であり、原産地は中央アジアと考えられ、現在では世界各地に分布する。麻は、産業利用の視点から次の3つの点で注目されている。


(1)3カ月で高さ3mになるほど生長が早く、農薬を必要とせず、雑草や害虫に強く、栽培管理が容易である。

(2)利用価値が高く、種子から食品や化粧品、繊維から衣服、紙、住宅用断熱材、自動車内装材や天然繊維強化プラスチック(複合素材)、繊維をとった後の芯材から建築ボードや動物用敷料等の製品ができ、欧米諸国で全て実用化している。

(3)麻といえば、古来より大麻草のことを指し、地名や人名にも使用され、日本の風土や文化に関係の深い植物である。

大麻取締法ができるまで

 麻は、縄文時代から第二次世界大戦前まで誰でも自由に栽培することができた農作物である。最初の麻の法的規制は、1930年「麻薬取締規則」であった。この規則は、25年第2あへん条約の発行に伴い制定され、印度大麻草(カンナビス・インディカ)とその樹脂を規制した。日本では、繊維用の大麻草(カンナビス・サティバ)が栽培され、その規制は、麻農家には全く影響がなかったのである。

 45年8月15日の戦争終結直後の10月12日に連合軍総司令部(GHQ)は、日本政府に麻薬に関するメモランダム(覚書)を発行し、ポツダム宣言を受けた「ポツダム省令」にて同年11月24日付省令の「麻薬原料植物の栽培、麻薬の製造、輸入及び輸出等禁止に関する件」によって、麻を麻薬と定義した上で、その栽培、製造、販売、輸出入を全面的に禁止した。

 当時の日本では、繊維原料としてはもちろん、魚網や下駄の鼻緒などの需要は多く、麻の栽培は不可欠であった。当時の農林省は、「大麻は日本の主要作物である」といって再三の交渉の結果、この禁令は解除され、47年4月に「大麻取締規則」厚生・農林省令第1号が制定された。

 翌48年7月、前述のポツダム省令を集大成して医師が取り扱う「(旧)麻薬取締法」、と農家向けの「大麻取締法」が別々に制定された。この法律により麻の栽培に関しては、都道府県知事の免許が必要となった。50年時点では、栽培者2万5118名、作付面積4049ha、その用途は、下駄の鼻緒52%、畳糸32%、魚網12%、荷縄4%であった。

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