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【日本で麻農業をはじめよう 聞いておきたい大麻草の正しい知識】
大麻取締法における栽培免許とは?
- NPO法人バイオマス産業社会ネットワーク 理事 赤星栄志
- 第1回 2012年12月14日
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法律でどこが規制されているのか?
現在、国際条約では、産業利用の目的は特に制限されてないが、国内では大麻取締法によって規制されている。日本では「大麻」は、法律上、大麻草の葉と花穂のことであり、これを所持することが大麻取締法で違法に当たる。マリファナとは、大麻草の葉や花穂を乾燥させて、タバコのように喫煙できるようにしたマリファナ煙草のことである。図表2を見ると、合法か違法かという区分を取り除けば、伝統、産業、医療、嗜好と非常に幅広い活用用法があるにも関わらず、一般的には、大麻というと嗜好品分野のことしか認識されていない。
栽培には、都道府県知事が許可する大麻取扱者免許が必要であり、農業者が取得する「栽培者免許」及び大学や麻薬取締関係者が取得する「研究者免許」の2種類。免許の有効期限は、1月1日から12月31日で毎年更新する必要がある。
申請窓口は、各当道府県の薬務課又は保健所で、厚生労働省発行の文書によって次のような許可基準の目安がある。
栽培免許に必要な書類と交渉
大麻取締法では、大麻取扱者免許を与えられないものに(1)麻薬、大麻又はあへんの中毒者、(2)禁錮以上の刑に処せられた者、(3)成年被後見人、被保佐人又は未成年者の3点が定められている。法律上は、これらの欠格事由がなければ誰でも免許が取得できるようになっているが、厚労省の文書で栽培目的を限定するような指針が示されている。図表3を見ると「伝統工芸」及び「社会的有用性/生活必需品」の2点が免許取得の基準になっていることが読み取れる。
大麻取扱者免許は、都道府県の行政手続条例で免許申請の審査基準や書類の様式が定められている。県の薬務課に訪問してそれらの書類一式をもらう必要があるが、たいていの場合は門前払いを受ける。なぜならば、大麻を薬物として規制しているところが厚生労働省の管轄で、農業を推進する農林水産省でないことがネックとなっている。しかし、法律の細則を定めた「大麻取締規則」では、厚生・農林省令第1号であり、本来は共同管轄であったにも関わらず、それが機能していないのである。
1.申請書 (各都道府県の薬務課でもらえる)
2.麻薬、大麻又はあへんの中毒者でない旨の医師の診断書
3.申請者の履歴書
4.栽培場所を中心とした平面図、施設平面図および現地案内図
5.大麻草の盗難防止の方法を記載した書類
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赤星栄志 アカホシヨシユキ
NPO法人バイオマス産業社会ネットワーク
理事
1974(昭和49)年、滋賀県生まれ。日本大学農獣医学部卒。同大学院より博士(環境科学)取得。学生時代から環境・農業・NGOをキーワードに活動を始め、農業法人スタッフ、システムエンジニアを経て様々なバイオマス(生物資源)の研究開発事業に従事。現在、NPO法人ヘンプ製品普及協会理事、日本大学大学院総合科学研究所研究員など。主な著書に、『ヘンプ読本』(2006年 築地書館)、『大麻草解体新書』(2011年 明窓出版)など。 【WEBサイト:麻類作物研究センター】http://www.hemp-revo.net
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