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人生・農業リセット再出発

忘己利他(もうこりた)

「片手に論語、片手にそろばん」明治時代の実業家、渋沢栄一は企業倫理の重要性をそう説いた。英国国営放送は、「世界に一番貢献している国はどこか?」の調査で日本が3年連続ダントツの1位に評価されたことを受け、いずれの国も自己利益を最優先しているのに対して、日本は喜んでもらおう、お役に立ちたいという利他の精神から始まっていると分析。
 近江商人道の「売り手よし、買い手よし、世間よし」の三方よし文化を引き合いに出して説明した。

 「生まれ変わってもこの会社で働きたい」

 これは、覆面調査で長野県の中央タクシーの運転手3人から聞きだした言葉である。3人すべてがうれしそうにそう答えた。通勤時間を含めると人生の半分以上を費やしている仕事で、生まれ変わっても同じに……あなたならどうだろうか。返事もしない横柄なタクシー業界、社風の悪い会社に未来はない。お客様に喜んでもらえるにはどうすればよいかと宇都宮恒久社長は考えた。お客様が先、利益は後。自己流に走る経験者を排して170人全員を素人から採用。自動ドアの全廃。タクシーの組合を脱退し、当時では珍しい全車禁煙も手がける。売上の数値管理は一切口にせず、人間としての理念実践を1万回は繰り返した。赤字転落に陥ったときも、「リストラはしない、給料も1円も下げない」と公言し、本社ビルを売却するとともに山中のプレハブ小屋に移す対応をした。人は簡単に動かない、だからこそ差別化で動いた者がチャンスをつかめる。そうした結果、駅前待ちや流しをしなくても予約でいっぱいになった。「今どきの若者は……」とはソクラテスも使っているが、その否定表現を称賛に変えるには「今どきの若者はすばらしい」とすればよい。経営者は社員を活き活きさせることが仕事である。『日本で一番大切にしたい会社』の著者である坂本光司法政大学教授の前で、「成功するには運と根気、鈍いくらいの粘り強い“運鈍根”」だと唱える「幸せを運ぶタクシー」の経営者は研修会議でそう言い切った。

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